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久保建英22歳「このような勝利に慣れないと」なぜ“ソシエダ20季ぶりCL決勝T”偉業にもクールだったか…“動画に収まらない”タケの真骨頂
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/11/12 17:05
ラ・レアル20シーズンぶりのCL決勝トーナメント進出。その偉業にも、なぜ久保建英はクールな表情だったのか
攻撃時3トップのサイドに入る久保だが、守備時には2トップ気味に陣形を変えることで、相手サイドバックの攻め上がりに久保が対応する必要がない。それでも相手カウンター時、必要性を感じれば、誰より早く全速力で帰陣する姿も撮影できた。
嫌なムードになりかけた中でベンフィカサポが…
後半が開始されると、3点ビハインドと後がないベンフィカが攻勢に出る。すると49分、ベンフィカが反撃のゴールを奪う。
またもや逆転劇が繰り広げられるのではないか、スタジアムにはそんな空気が漂った。ベンフィカにとっては勿体無いことだが、そんな空気を吹き飛ばしたのは、ベンフィカサポーターだった。
2階席のアウェイサポーター席で発煙筒が焚かれ、ホームサポーターを煽るように振りかざした。そしてあろうことか、1階席へ向かって放り落とした。オヤルサバルを中心としたソシエダメンバーの声かけでゲームが一時中断、暴挙に出た者たちには大きなブーイングが鳴り響いた。
一時劣勢に立たされかけたソシエダは選手とサポーターが一致団結、ゲームの趨勢を取り戻した。久保は、70分にピッチを後にしている。
チームはそのまま3-1で勝利を迎えて抱き合い、支え合い、サポーターへ笑顔を向け、勝利を祝った。
「自分がという思いも」…その後、同僚とは軽口
肩を組んでサポーターと共に喜ぶ選手の中、浮かない顔を浮かべているのが久保だった。
試合後インタビューで「やっぱりみんなが取っていると嬉しいですけど、自分がという思いも当然あります」、またサポーターに向けて「ラ・レアルのサポーターは、このような試合の勝利に慣れなければいけない。チームは、もうベンフィカと同レベルにいるんだ」と述べている。
ゴールを狙いにいって奪えなかった悔しさ、そしてこれくらいの勝利は当たり前だという自負心がそうさせていたのだろう。
サポーターが想像もできなかった高み、そんな先を久保は見つめている。