朝倉がプロデュースするBreakingDownを念頭に置いたであろう鈴木の発言を受けて、かつてK-1中量級で一時代を築いた魔裟斗も、自身のYouTubeで「（いまのままだと格闘技の）未来はなくなるね。裾野がしぼんじゃうね。親が子供にやらせたくないからね。10年後、20年後、（格闘技の競技）人口が減っちゃうんじゃない？　親はやらせないでしょ」と警鐘を鳴らした。

　これに対してBreakingDownに出場中の啓之輔が「僕は格闘技に出会い更生出来ました」と反論するなど、波紋は広がっている。かつての格闘技の世界では、“ヤンチャなカルチャー”はスポーツへと自然に昇華された。しかしながら、現在はヤンチャさがそのまま発展・拡大する道ができつつあるようにも感じられる。

「素晴らしい」当の朝倉未来は“鈴木発言”を歓迎

　11月9日の公開練習。鈴木や魔裟斗の発言について感想を求められると、朝倉は意外な一言を発した。

「そう思うトップファイターがいるのは素晴らしいことだと思います」

朝倉未来は公開練習で“BD論争”についての質問に答えた　©Koji Fuse

　なぜ肯定できるのか。

「（不良の文化に）飲み込まれてはダメなので。僕自身も感じていますけど、BreakingDownは朝倉未来より数字を持っている。僕がプロ格闘家として試合が決まった時や（JAPAN TOP TEAMの）新体制を発表した時も、100万視聴くらいしかいかない。BreakingDownは300万。プロ格闘家の視点で言ったら、悔しい気持ちもあるわけですよ。喧嘩の方がファンも興味を持つ人が多い。だから、そういう気持ちを持っている選手がもっと頑張れば、アスリートとしての格闘技が広がっていくかもしれない。どちらも共存していけばいいんじゃないですか」

　格闘技と喧嘩がせめぎ合う中、その境界線上に立つ朝倉未来とYA-MANの闘いは見るものに何を残し、どう受け止められるのか。格闘技界の趨勢を左右する大一番になりそうだ。