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朝倉未来にYA-MANが痛烈批判「こんな人間が格闘技界のトップだとダサくなる」…まさかの対決に“BD論争”、渦中の男は何を思うのか?
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2023/11/10 17:04
11月4日、YA-MANと朝倉未来のフェイスオフ。記者会見で朝倉は“役者の違い”を見せつけた
続けて白川らとムエタイの聖地であるタイに行ったことを記者に聞かれると、朝倉は「あれね、旅行で遊びに行って(現地では)1日練習しただけなんですよ」と打ち明けた。
「今日まであまり(キックの)練習してないんですよ、俺たち。MMAの練習をしていて。だから来週から立ち技の練習をちょろっとやろうかなってくらいで。ナメてるんでね」
さらに団体戦のメンバーの中にプロのMMAで6勝6敗の西谷大成を入れたことも、YA-MAN軍団をナメている証拠とつけ加えた。
「西谷君くらいで勝てるんじゃないかな、みたいな。それくらい適当な感じでやっているので」
RIZIN新王者の主張「不良が格闘技の質を下げている」
どこまでがリップサービスで、どこまでが本気なのか。境界線はわからない。いや、その“曖昧さ”にこそ、朝倉未来が持つ引力の秘密が隠されているといえるのではないか。
ただひとつわかったのは、ケラモフに敗れたとはいえ、朝倉は自分のステータスに絶対の自信を持っているということだ。一連の発言は、直近の勝敗よりYouTubeの再生回数やSNSのフォロワー数によって選手の価値が決まりがちな現在の格闘技の流れを象徴していた。
朝倉の挑発的な発言を受け、YA-MANは「立ち技がナメられているって感じなので、当日痛い目を見ればいいんじゃないかなと思っています」と必勝を宣言した。
これから試合に至るまで、果たしてどんな激しいやりとりが待っているのだろうか。とはいえ、こうした煽り合いをよしとする風潮に待ったをかける選手も出てきた。11月4日(現地時間)、アゼルバイジャンで大方の予想を覆すかのようにケラモフを1ラウンドTKOで撃破し、RIZINフェザー級王者に輝いた鈴木千裕だ。
戴冠直後のインタビューで、新チャンピオンは「(格闘技を通して)子供たちに未来を見せたい」と熱く語った。
「いま、日本の格闘技は不良やヤンキーが輝く時代になってしまっている。そういう人たちが表舞台に出て格闘技の質を下げちゃっているんですよね。そうじゃなくて、本物が本当に格闘技をちゃんとやって、遊びも一切断ち切って、真面目にやっている人が報われる格闘技業界を俺は作りたい」