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箱根駅伝に向けて逆襲の狼煙…?《打倒駒大へ》青学大・原晋監督が語ったある“ジンクス”「出雲で5位、全日本で2位と来たら、箱根ではね…」
posted2023/11/06 17:02
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
Yuki Suenaga
全日本大学駅伝のゴール地点である、伊勢神宮内宮宇治橋前。関係者のみが入れるゴールエリアでは、小さなモニターの前に人だかりができていた。
最前列でしゃがみ込み、中継を食い入るように見つめているのは國學院大の前田康弘監督だ。隣には、テレビの中継レポーターを務めた増田明美さんもいる。中央大の学生が多いのだろうか。残り3kmを切ったところでアンカーの阿部陽樹(3年)が前に出ると、悲鳴のような歓声がとどろいた。
國學院大、中央大と青学大の三つ巴の2位争いの行方は…?
1区から一度も先頭を譲らず、駒澤大が独走で優勝(大会4連覇)を決めた一方で、最後まで白熱したのが2位争いだった。國學院大の伊地知賢造(4年)、青学大の田中悠登(3年)、そして阿部を含めた3人が互いの意地をぶつけ合うように並走した。
勝負はゴール直前までもつれたが、最後にこのスパート合戦を制したのが田中だった。
伊地知との差を5秒、阿部との差を15秒に広げて2着でゴールすると、チームメイトからもみくちゃにされ、ホッとした笑顔を見せた。
モニターの前で、「おおっ」と安堵の声を漏らしたのは原晋監督である。
「田中は立派な走りをしてくれたね。青山学院大のプライドを守ってくれました」
だが、準優勝という結果を、手放しでは喜べないのだろう。すぐにこう言って、表情を曇らせた。
「他大学を含めて、駒澤に先頭をいかせたらダメですね。出だしから背中を見て走るようじゃダメですよ」
今季も圧倒的な強さを見せる駒澤大に対して、ライバルチームがとりわけ重視したのが前半区間だった。いかにして駒澤大の前に出るか。王者の足元を揺さぶるには、前半の内にリードを奪うことが不可欠だった。