プロ野球PRESSBACK NUMBER
ドラフト指名漏れで話題「“順位縛り”は個人的に疑問です」谷繁元信(元中日監督)が持論「確かに4位以下は契約金が安いですが…」
text by
谷繁元信Motonobu Tanishige
photograph byAsahi Shimbun
posted2023/11/03 11:06
ドラフト会議で指名を待つ広陵高の真鍋慧(右)。左は野球部の中井哲之監督
真鍋選手のケースをどう考えるのかは難しいところですが、「順位縛り」に対しては個人的に疑問を抱いています。縛りがなければ、4位や5位、6位での指名があったかもしれない。率直に言うなら、プロに入りたいのか、入りたくないのか、どちらなのかな、と。プロ野球の世界というのは、入ってからが勝負なんですよ。入らないことには活躍もできないし、給料も稼げない。ドラフトはあくまでも入り口でしかない。どういった考えでそういった縛りを設けるのか、僕にはわからないというのが正直なところです。
もちろん4位以下は契約金がいくらか安いという事実はあります。それを忌避しているのか、あるいは単純に上位でなければプライド的に納得がいかない、ということなのか。ただ、実際のところ入ってしまえば一緒なんですよ。1位だろうが6位だろうが、頑張れば頑張っただけ給料がもらえる。厳しい言い方かもしれませんが、それだったら最初から「プロには行かない」と宣言したほうが潔くてカッコいいじゃないですか。
これは真鍋選手の話というわけではなく、本気でプロを目指しているのなら、育成指名でも入っていけばいい。独立リーグ経由なら最速で1年ですが、大学に行ったら4年、社会人なら高卒でも3年はプロに入れないわけですから。その間に支配下になって、1年、2年と活躍できたら、ドラフト上位の契約金以上のお金を稼ぐこともできるかもしれない。
たしかに高校の段階では「まだちょっとプロのレベルに達していないな」という選手でも、大学や社会人、独立リーグで飛躍的に成長する例はたくさんあります。今年のドラフト上位で指名された大学生の投手も大半がそういう選手でしょう。ただ、彼らの場合は高校の時点で縛りがあったわけではなく、プロに入りたくても入れなかった選手です。
過去には「順位縛り」を設けたがために失敗した選手も、けっこういると思うんですよ。大学で怪我をするかもしれないし、まったく成長できずプロから一切声がかからなくなるかもしれない。もちろん各選手の選択は尊重するというのが大前提ですが、プロを志望していて実際にそのチャンスがある、何位でも指名してくれる球団があるというのであれば、そのタイミングで行ったほうがいいのではないか……というのが僕の考えです。
「ドラ1、10人はすぐに試合に出られる」
今年のドラフトをあらためて振り返ると、大学生を中心にピッチャーは豊作と言っていい年だったと思います。ただ、個人的に「先が見てみたい」と感じたのは、高校生を中心としたオリックスの指名です。