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プロ野球PRESSBACK NUMBER
5球団競合ドラフト1位で「1年目からプレッシャーがあった」ソフトバンク→日本ハム移籍でブレーク、田中正義29歳が振り返る6年間の苦闘
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph bySankei Shimbun
posted2023/11/07 11:01
今年1月、人的補償でソフトバンクから日本ハムへ移籍した田中正義。2016年ドラフト1位の右腕がソフトバンクでの6年間を振り返った
「最初連絡を受けた時は、正直驚きました。でもチームは変わってもスポーツが変わるわけじゃない。やることは同じだから、とにかく一生懸命やるだけだとすぐに気持ちは切り替えられた。ホークスにはいい選手がたくさんいる。その中から選んでいただけたということを光栄に感じましたし、なんとかキャンプでアピールして、一軍にいられるように頑張ろう、と強く思いました」
ホークスでお前の姿を見られないのは残念だけど…
ホークスのコーチやチームメートから、次々に激励を受けた。チーム最年長でオフの自主トレで弟子入りしたこともある和田毅投手からは「ホークスでお前の姿を見られないのは残念だけど、チャンスだと思うから、後悔のないように頑張れ」と背中を押されたという。
「色々な人から『お前ならできるよ』と前向きな言葉をかけてもらうことがすごく多くて、改めてずっと温かく見守ってもらっていたんだなと感じました。チームは変わるけれど、なんとかマウンドで躍動している姿をみんなに見せられるように頑張りたいと、決意が強くなった気がします」
5球団競合のドラフト1位
「田中正義」の名が全国に知れ渡ったのは2015年、創価大3年生の頃だった。自己最速の156kmをマークし、6月にはユニバーシアード夏季大会に向けた大学日本代表に選出。プロの若手中心に構成されたNPB選抜との壮行試合で4回を投げ、7連続を含む8奪三振無安打の“完全投球”で日米のスカウト陣の視線を釘付けにした。
2016年のドラフト会議では広島、巨人、日本ハム、ソフトバンク、ロッテの5球団が1位指名。抽選でソフトバンク・工藤公康監督(当時)が交渉権を引き当てると、報道陣や学生ら約1300人が詰めかけた会見場で大歓声を浴びた。新入団会見、新人合同自主トレと、常に注目を一身に浴び続けた当時の心境を、田中は静かに振り返る。
投げられないくらいの痛み
「5球団も競合しているので。開幕一軍当たり前というか。1年目から戦力として見られているプレッシャーみたいなのがありましたね」