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サトノダイヤモンド、悲願の“ジンクス打破”に隠された史実…アニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』を読み解く「この温泉、もしかして…?」【ウマ娘考察#4】
text by
屋城敦Atsushi Yashiro
photograph by©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会
posted2023/11/10 18:00
サトノダイヤモンドのクラシック挑戦が描かれる4話~6話。感動的な菊花賞勝利とともに描かれていた史実とは…?
続いて後輩たちも登場。サトノダイヤモンドがダービーを走った2016年に「デビューする」と口にしているが、この年デビューイヤーを迎える2014年生まれの「サトノ」を冠した競走馬は30頭以上。朝日杯フューチュリティステークスを制したサトノアレスやクラシック戦線に名乗りを上げたサトノアーサーやサトノクロニクルなど多士済々の世代が新馬戦を待つ時期だった。
強すぎて退屈だ、そう言われた菊花賞ウマ娘
プレッシャーからか自身を追い込み続ける彼女を救ったのはメジロマックイーンだった。『ウマ娘』では、サトノダイヤモンドの憧れの存在として描かれている彼女は「ジンクスなんて、誰かが後からこじつけたもの」と言い放つ。ここで彼女が引用した「菊花賞は最も強いウマ娘が勝つ」というジンクスは有名な格言「菊花賞は最も強い馬が勝つ」が元になっていて、「皐月賞は最も速い馬が勝つ」、「ダービーは最も運のいい馬が勝つ」とともに知られている格言だ。
また、「強すぎて退屈だ、そう言われた菊花賞ウマ娘が言うのですから」というセリフは、2011年に放映されたJRAのCMで語られたフレーズ「絶対の強さは、時に人を退屈させる。」を想起させる言い回しだ。
メジロ家のおばあさまからの教え
彼女の言葉は、他の誰よりもサトノダイヤモンドに響いただろう。なぜなら、彼女は“メジロ家”という名門のプレッシャーに打ち克って天皇賞を制覇し、一族の悲願であった天皇賞を制覇したウマ娘だから。
そして「とっておきのアドバイス」として言いかけた「ウサギはカメを見ていた。カメは……」という一節は、アニメ第2期でメジロマックイーンが幼いころメジロ家の“おばあさま”に読んでもらった『ウサギとカメ』の絵本から引用したもの。その後は「カメはゴールを見ていた」と続く。
菊花賞はサトノダイヤモンドが危なげなく勝利を飾り、積年のジンクスに終止符を打った。
ついに殻を打ち破ったキタサンブラックとサトノダイヤモンド。史実ではここからついに直接対決が繰り広げられることになる。親友であるふたりに今後どのような展開が待っているのだろうか?