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サトノダイヤモンド、悲願の“ジンクス打破”に隠された史実…アニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』を読み解く「この温泉、もしかして…?」【ウマ娘考察#4】
text by
屋城敦Atsushi Yashiro
photograph by©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会
posted2023/11/10 18:00
サトノダイヤモンドのクラシック挑戦が描かれる4話~6話。感動的な菊花賞勝利とともに描かれていた史実とは…?
凱旋門賞への強い意志
【第5話】
第5話の舞台は宝塚記念。緊張するキタサンブラックにゴールドシップは「宝塚記念と言えばアタシの独壇場」と誇っているがそれは妄言ではなく、実際に圧勝で連覇を飾っていた。大敗した2015年も単勝1.9倍という高い支持を得ていたほどの強さを誇っていたのだ。
最大のライバルであるドゥラメンテはインタビューで「全てのレースは、凱旋門賞までの過程に過ぎない」と大言していた。じつは史実でもドバイ遠征前、復帰レースの中山記念を勝利した後に陣営が「帰国後の様子などを総合的に判断してからですが、凱旋門賞は使いたいと考えています」とコメントしており、凱旋門賞が常に念頭にあった。
ドゥラメンテの自信は、血統に裏打ちされたもの?
冒頭でサトノダイヤモンドが落鉄により日本ダービーを8センチ差で敗れるシーンが描かれていたが、実はドゥラメンテもドバイシーマクラシックで落鉄を経験している。ドゥラメンテの場合はレース中ではなく馬場入り後に蹄鉄が外れたのだが、興奮状態のため打ち直すことができず、そのまま出走した結果2着に敗れてしまったのだ。なお、同レースを勝利した“欧州最強馬”は、前年の英キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークスを制したポストポンドである。
また、その後の雨中のシーンでドゥラメンテは「はるかな夢、限界に挑み続けてきた一族の願い……それが私の血脈には流れている」とキタサンブラックに語っている。史実でも女傑ダイナカールを牝系の源流に数々の名馬の血統を受け継いだ、ドゥラメンテをイメージしたセリフだろう。