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真鍋慧の視察でビックリ発掘→ドラフト指名…無名公立校「まさかプロ野球選手が出るなんて」スカウト対応も初めてだった“現場ドタバタ劇” 

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井上幸太

井上幸太Kota Inoue

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posted2023/11/02 06:01

真鍋慧の視察でビックリ発掘→ドラフト指名…無名公立校「まさかプロ野球選手が出るなんて」スカウト対応も初めてだった“現場ドタバタ劇”<Number Web> photograph by Kota Inoue

島根の公立校・三刀屋(みとや)からプロ野球選手が誕生した。その舞台裏とは

ケガで成績低迷…監督の「焦り」

 5月末に実戦復帰してからも打撃の感覚が戻らず、視察を再開したスカウトの前で凡退を繰り返して苦しむ髙野の姿に、國分監督も焦燥した。

「故障が治ってから一回もいい状態を見せられていなかったので、どこかで見せないとマズい。監督の自分が髙野の1打席、1打席を、必要以上に気にし過ぎてしまいました。入学以来ずっと『プロに行きたい』と言い続けて、現実にできるかもしれない髙野の未来を案じるあまり、監督の自分が『あちゃー』と落ち込みすぎた。それが髙野にもチームにも伝わってしまったと思います」

「プロのスカウトから、どう見られるか」を意識し過ぎた故の後悔は、まだある。髙野の打席での“ルーティン”に関してだ。

「スカウトの方がマイナスに捉えるんじゃないか」

「風貌から豪快、豪傑と見られがちなんですけど(笑)、髙野って、色々なことを気にする性格なんです。打席でもフォームがおかしくないか、タイミングの取り方が間違っていないかを気にすることが多くて、そういう時は必ずベンチにいる自分を見てきました。そこで『大丈夫だよ』の意味で笑ったりすると、すごく安心した表情で打席に戻るんです」

 髙野にとって、ベンチにいる指揮官の表情やジェスチャーは、打席での自分を映し出す鏡であり、何よりも心の安定剤だった。しかし、5月の実戦復帰以降、このルーティンを禁じた。

「スカウトの方が、この様子を『自信がなさそう』とマイナスに捉えるんじゃないかと怖くなったんです。けど、ただでさえ打撃の状態が上がらない時期に彼のルーティンを取り上げたことで、余計に復調を遅らせてしまったのかもしれない。高校生って『もう高校生なのに』と言われたり、『まだ高校生なんだから』とも言われる、大人であり、子どもでもある年代。今思うと、評価を気にするあまり、独り立ちを急ぎすぎました」

【次ページ】 甲子園も狙える代…監督の苦悩

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