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「何でゴロ打たんのやろ」阪神・岡田彰布監督の“怒り”に触れた3番・森下翔太…短期決戦で問われる“決断”「甲子園帰ってからやな」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/10/30 17:20
日本シリーズ第2戦、0−8で完封負けを喫した阪神・岡田彰布監督。1勝1敗のタイで本拠地・甲子園にて3戦目を迎える
シリーズに入って1、2番、特に2番の中野が第2戦でもマルチの2安打を放つなど絶好調なだけに、余計に森下の不振が際立ってしまう。初戦終了後には「ボールばっかり振ってる奴も最後、1本出たしな。3打席で代えたろうかと思ったけど、また泣いたらあかんから、今日は辛抱したよ。初戦やからな」と温情を見せ、決断を躊躇した岡田監督だが、結果的にはそれが短期決戦で“手遅れ”になりかねない状況を招いているとも言えるのである。
「(併殺打など)正面に飛んでいるのも打たされているということなんだと思います。(移動日で)1日空くので修正して臨みたい」
大敗後の森下はこう巻き返しを誓った。
1、2戦の舞台となった京セラドームから、第3戦はおそらく黄色に染まる本拠地・甲子園球場に舞台は移る。そこで本人の思い通りにリベンジのチャンスが与えられるのか、果たしてその電光掲示板に森下の名前があるのか……。
「別にしゃあない。勝ち負けだけ」
「まだ(森下本人に)聞いてないから分からへんけどな。どういう考えで打っているんかということやろうな」
第2戦終了後にこう語った岡田監督だが、その言葉には厳しい響きがあったのは間違いなかった。
1勝1敗。
「1勝1敗でええと思っていたけど、まあなあ……えらい極端な2試合になったけどな。別にしゃあない。もう勝ち負けだけよ。勝った負けたや。甲子園に帰ってからやな」
ただ日本シリーズの戦い方には“第2戦必勝主義”という考えがある。それこそ初戦は探り。その結果を踏まえた2戦目からが、本当の戦いになるということだ。
もう決断を躊躇する時間はないはずである。