「球速や投げっぷりの良さがある投手は、それだけで打者にとってやりづらさがあります。今はまだ、ブルペン投球でもバラバラな部分のある投手ですが、素材は抜群。何かをつかんだらものすごい投手になる予感があります。野球に取り組む本人の姿勢が一番ですが、育成力のあるオリックスでどんな選手に成長するのか楽しみです」

23年6月、大阪桐蔭高との練習試合で力投する享栄高（愛知）の東松快征　©JIJI PRESS

西武が指名の左腕・武内はどう見ている？

　球団の特徴という面では、西武も戦略がはっきりしていた。

　3球団競合で交渉権を引き当てた国学院大・武内夏暉投手をはじめ、指名した7人のうち6人が投手。今シーズンは平良海馬投手、高橋光成投手、今井達也投手と3人が2桁勝利をマークしたが、高橋投手は今オフ、ポスティングシステムを使ったメジャー移籍の可能性がある。また、先発ローテーションは隅田知一郎投手を除いて全員が右投手のため、左腕の武内投手を指名できた価値は大きいと山崎さんは強調する。

「今回のドラフトで1位指名された東都に所属する7人の投手の中でも、武内投手は、すぐに結果を残せるのではないかと思っています。怪我なく持っている力をプロでも発揮できれば1年目からローテーションに入れる投手なので、大きな戦力になるはずです」

西武1位指名の武内　©Hideki Sugiyama

細野には「特長を失わないようにしてほしい」

　オリックスや西武とは違った理由で球団の色が出たチームとして挙げたのは、かつてユニホームを着ていた楽天である。

　12球団で唯一、育成選手を1人も指名しなかった。球団としては2013年以来、10年ぶりとなる。山崎さんは「チームづくりの方針というよりも球団経営の話になっています。あまりお金をかけない会社としての事情が見えます」と話す。

　今オフは守護神・松井裕樹投手のメジャー移籍が有力視され、先発投手陣は年齢が高くなっている。ドラフトでは投手を5人指名したものの、高校生が3人。山崎さんは「世代交代が上手くいかないと、どんなチームも低迷する時期が来ます。楽天はお金を使って大型補強するようには見えないので、しばらく我慢の時期が続くかもしれません」と分析した。

　日本ハムも投手陣に不安が残る。

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