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ドラフトウラ話《西武6位指名》「なぜ“無名地方大学”の男が指名された?」記者が完全密着…現場は“ドタバタ”「テレビの生中継どうしよう…」 

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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posted2023/10/29 11:01

ドラフトウラ話《西武6位指名》「なぜ“無名地方大学”の男が指名された?」記者が完全密着…現場は“ドタバタ”「テレビの生中継どうしよう…」<Number Web> photograph by Number Web

三重県伊勢市にある皇學館大から史上初のドラフト指名選手が誕生した

なぜ「無名の大学」を選んだのか?

 村田はここでも周囲の予想を“裏切った”。皇學館大学を選んだのだ。そこで本人に問う。我ながら安直な発想と思いつつも。

――無名のチームで全国の強豪を倒したい。そういった動機ですか?

 しばし黙考し、言葉を選ぶように語った。

「一緒に野球をやっている仲間は大好きですし、チームとしていい成績を残したいという思いはもちろんありました。ただもう一方で、有名ではない高校、大学だから自分が目立てる。結果さえ出せば注目されやすい、という計算もあった。プロに行くことを目標にしたら、現実的にそういうやり方もあると思うので」

 新鮮だった。特にロマン砲と評されてきた村田だ。無意識に……月並みな「イメージ」に重ねてしまっていた。しかし、当の村田は、どこまでも冷静だった。バットにボールを当てるコンタクト率をどう上げるか。大学入学後、計4人のトレーナーに身体も診てもらった。強化すべき身体の部位はどこか。どうすればプロに近づけるのか。すべて逆算した。

 夕方まで授業、17時から全体練習、21時に帰宅のち夕食、バッティングセンター、ジム……夜中2時就寝、朝8時起床のルーティンを続けた。20歳を過ぎて2年。ドラフト会議を迎えたその日まで、アルコールを口にしたことは一度もない。

 自分を律し続けられるストイックさは、「遠くに飛ばす力」と同様にある種の才能でもあった。

「4年後、プロ志望届を出そうと思って皇學館に入った。その計画をほぼ完璧に実行できました。計算通りにやれたと思います。これで指名されなければ縁がなかったということ。だから緊張もあまりしてません。少しだけソワソワしているくらい。やることはやったんで、『選ばれるんじゃね?』くらいの心境です」

【次ページ】 生中継も快諾、豪快スラッガーの“緻密な計算”

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