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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「おい、サジ」ふらりと現れた岡田彰布監督が明かした18年前の“答え合わせ”…元リリーフ右腕・桟原将司が振り返る「岡田語録」に隠された“信念と情”
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/20 11:31
最終回をきっちりと抑えた桟原を岡田監督が出迎える(2004年)
タイガースが前回優勝した05年は落合博満が率いるドラゴンズが最大のライバルだった。6月上旬から首位に立ったが、追い上げられ、8月31日には0・5ゲーム差まで詰め寄られた。粘り強い打撃で厄介だったのが、アライバこと、荒木雅博や井端弘和だった。
荒れ球が多ければ、打者は簡単には踏み込めない。球が上ずれば、腰が引ける。桟原のドラゴンズ戦への投入は、相手の嫌がることをする岡田の勝負事に対する考え方が表れている。いつになく饒舌な岡田の雑談からは、勝負の世界を生き抜いてきた男の心の奥底が垣間見える。
桟原はコントロールに不安があったが、ある時、監督の考えを知って払拭できた。
「周りから“岡田監督は球が速い投手とホームランバッターが好き。それは練習してもできるものじゃない”と聞きました。選手のタイプとしては、監督に気に入っていただいていたのかなと思います。僕はコントロールがいい投手ではありませんでした。コーチにも“球の強さで押していけ”と言われたりしていましたから」
「JFK」を支えた「SHE」の存在価値
05年は岡田が描く戦略が光ったシーズンだった。とりわけ、ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之が勝ち試合の7回以降にリリーフする「JFK」は、白星に直結する生命線になった。圧倒的な力を持つ剛腕を試合終盤に揃える継投パターンは、プロ野球の戦い方を変えた。「JFK」には、実は後方支援する3人の投手がいた。その一翼を担ったのが桟原である。
「ジェフが“JFKって騒がれているけど、僕らが活躍できるのはSHEがいるからだよ”って言ってくれていて」
桟原が8月14日の巨人戦でロングリリーフの好投を見せて勝ちを拾うと、継投でバトンを託したウィリアムスから褒められた。「SHE」はいつも「JFK」にとって、隣にいてほしい存在だった。橋本健太郎(現阪神打撃投手)、江草仁貴(現阪神二軍投手コーチ)との継投トリオである。
僅差でリードした勝ち展開で投げるのが「JFK」なら、接戦や大差でリードの局面が「SHE」の出番だった。