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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「おい、サジ」ふらりと現れた岡田彰布監督が明かした18年前の“答え合わせ”…元リリーフ右腕・桟原将司が振り返る「岡田語録」に隠された“信念と情”
posted2023/10/20 11:31
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph by
JIJI PRESS
阪神が前回セ・リーグを制した2005年、言わずと知れた勝利の方程式「JFK」を後方支援していた継投トリオが「SHE」だった。その一角として活躍したセットアッパー、桟原将司さんが、当時の恩師である岡田彰布監督の忘れ得ぬ言葉とその「指揮官像」を振り返った。〈全2回の後編/前編から読む〉
何年も後になって初めて知る事実に驚かされることがある。当事者であればあるほど、過去が蘇り、新たな像を結ぶ。桟原将司にも7、8年前、そんな会話があった。
「サジはなあ、俺は、よう中日戦に投げさせとったんや。コントロールがよくないから、荒れ球も多い。アライバとか、相手の調子が狂えばええなと思とったんよ」
カウンター越しの声の主は岡田彰布である。桟原はかつて阪神のセットアッパー投手として活躍し、現役引退後の2014年9月、大阪・北新地で「とり焼き さじ」を開店した。その噂を聞きつけて、何の前触れもなく、野球評論家だった岡田がふらりと客としてやってきたのだ。
後に明かされた「岡田の考え」
桟原がプロ1年目の04年に監督だったのが岡田である。ルーキーイヤーから一軍で44試合に登板させてくれた恩師である。
スリークオーターで150kmを超える速球が売りの右腕投手は救援陣の一角として奮闘し、05年のリーグ優勝にも貢献した。タイガースでプレーしていた頃、岡田との会話は数えるほどしかない。ドラゴンズ戦には何度も投げていたのに、野球を辞めてから、長い月日が経った後、思いもよらない「岡田の考え」を聞き、うならされた。
「僕の制球がよくないことを逆手にとって、相手がビビってくれたらいいというのは、岡田監督の現役時代の経験もあるのだと思います。野球観がスゴイ、といろんな方もおっしゃっていますからね」