当時は、捕球するだけでいっぱいいっぱいにも見えたが、今年のセンバツでのプレーを、「ずいぶんキャッチャーらしくなったなぁ」と思いながら見ていた。

　余裕が出来たというのか、すべてにあわてなくなった。先輩投手のペースに一生懸命ついていく感じの昨年から、投手とのコンビでテンポを作りながら、相手打者、相手ベンチを観察しながら、試合を進めていく。

　夏は惜しくも予選で敗れたが、二塁送球にしても、送りバントの一塁送球にしても、走るランナーを目の端に捉えながら、無駄に急がない。もともと、地肩はプロレベル、精度と再現性が上がって、安心・安全な強肩に進化している。

「捕手らしさ」を感じるのは、鈴木捕手のスローイング動作もそうだ。

　腰が割れるようになり、左足を小さく一歩踏み出してきっかけを作っておいて、フットワークで投げられる。そのリズム、スピードは抜群……実戦の中の私の計測で1.83秒 。リリースポイントの低さが違う。低い位置で、しっかり指をかけて放せるから、低い軌道で二塁ベース上まで糸を引くように伸びて、見るからに、タッチプレーしやすい送球。立派な「プロ仕様」だ。

打力はもう一段階レベルアップが欲しい

　2年時からホームランも結構打って「強打」の評判もあったが、ホントのところ、スイングの強さはこの秋にさらに一段養っておきたい。

　常葉菊川高→社会人・ENEOSで捕手として奮闘してきた石岡諒哉監督からは、3年間かけて、きっとみっちり薫陶を受けたはずで、その点も大きなアドバンテージ。

　これからのいろいろな場面の中で、「あ、あの時のあの指導はこういうことだったのか」と気づく瞬間が何度もあるはずで、その積み重ねが、すべて良い捕手になるための「こやし」になってくる。

＜内野手編に続く＞

#3に続く

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