打つだけだったら、ここには挙げていない。ディフェンスだって、なかなかのものなのだ。

　投手へ返球する姿勢と腕の振りがキリッとしている。サッとトップを作って、肘のしなりでスナップスローだ。

　二塁送球は「これ」が基調になるわけで、投手への返球がいい加減な捕手で、二塁送球が正確にビシッとできる捕手はいないと考えたほうがいい。タイムで1．8秒台が出ているらしいが、タイム欲しさの1．8秒じゃないのがいい。イニング間の二塁送球も含めて、再現性が高く、信用できる。

　都市対抗では、補強のベテラン投手からサインに首を振られる場面が何度もあったが、懸命に向き合おうとする意識が伝わってきてフレッシュ。こういう選手には、教える側も「なんとかしよう！」と力が入るものだ。

　思いきりの良すぎるオーバースイングの粗さが目立った都市対抗。本塁打を期待する周囲の目に、ちょっと気負いが過ぎたのか。しかしこの秋は広角へのスプレーヒッティングも見せて、学生時代には左中間スタンドにも放り込んでいた城野だ。

　成功体験、失敗体験……いろいろ経験しながら、少しずつ練度の高い捕手になっていけばよい。「捕手」の候補が少ないドラフトに居合わせた幸運も、才能の1つなのかもしれない。

捕手編【3】常葉大菊川高・鈴木叶（181cm77kg・右投右打）

　高校球界からは常葉大菊川高・鈴木叶捕手（181cm77kg・右投右打）を挙げたい。

　昨年のチームでも2年生捕手として、剛球サイドハンド・安西叶翔（現・日本ハム）とバッテリーを組み、破壊力抜群の剛速球にミットの中の指を痛めながら、懸命に受け止めていた姿がういういしかったものだ。

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