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ラグビーPRESSBACK NUMBER
「引退も考えました」リーチ マイケルが書いたジョセフHCへの“あるメール”…「奇跡」と表現した復活の裏側「立ち上がって、立ち上がる」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/10/08 11:01
4度目となるW杯でも日本代表を牽引する活躍を見せているリーチ マイケル(35歳)。引退の危機を乗り越え、奇跡の復活を果たした
ロールモデルはあの名選手「立ち上がって、立ち上がる」
復活へのロールモデルとしたのは、ニュージーランド代表として4度のW杯に出場したリッチー・マコウだった。リーチと同じフランカーとナンバーエイトを定位置としたマコウは、「攻守のあらゆる局面に関わる」と評された選手だった。
「彼の試合を観ると、どんなところにもいるじゃないですか、なぜかって考えたときに、彼は試合を通して寝ている時間が28秒しかない。どれぐらい寝ているのかとサムに聞かれたときに、5分ぐらいと答えたら28秒だった。マジか、だから、プレーの参加回数が多くなるんだと。サムと話をして、試合の目標として寝ている時間をなくす。倒れたらすぐに立ち上がる。それをやったら、プレーの回数がだいぶ増えて、プレー中にいいところにいたりするようになって。そのおかげで、けっこう良くなったんですよね。大きな試合で大きな影響を与えようとかじゃなくて、とにかく立ち上がる。ビッグプレーじゃなくて、立ち上がって、立ち上がる。それで、だいぶ、良くなって」
2022年12月開幕のリーグワンでは、開幕節から好調さをアピールしていく。6番(フランカー)から8番(ナンバーエイト)へポジションを移し、攻守両面で幅広くボールに関わっていった。
東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダーHCは、シーズン開幕直後のリコーブラックラムズ東京戦後にこう話している。
「いまの彼は火が点いている状態で、絶好調ですね。6番から8番への変更を楽しんでいるようです」
リーチと長くプレーしてきた共同キャプテンの小川高廣も、その好調ぶりに触れた。
「本当に調子が良くて、『オレにボールをくれ、オレにくれ』という感じです。ワークレートも高いですし、いいときのマイケルだなと思っています」
チームの練習後に、アフターと呼ばれる個人練習にも取り組んでいった。若手選手に声をかけて、切磋琢磨していった。
「アフターでタックルして立ち上がる練習をやっていきました。タックルして走って、またタックルして走って。それをやっていったら、徐々に調子が上がりました」
アフターのパートナーに名を連ねる高城勝一は、リーチの凄みと自身の成長を感じる日々を過ごした。ワーナー・ディアンズらとともに21年度に加入したこのロックは、シーズン開幕後の週2回、練習後にリーチと激しく汗を流した。