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“日本代表への最短経路”ワーナー・ディアンズ21歳はなぜ高卒で東芝に? スカウトが語る入団秘話と“真の能力”「どこに蹴っても取るんです」
posted2023/10/08 11:02
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto
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ラグビーW杯日本代表において、ワーナー・ディアンズは少し変わった経歴の持ち主だ。ほとんどの選手は大学経由で国内トップカテゴリーのチームへ進むものだが、彼は高校卒業と同時に東芝ブレイブルーパス東京に加入したのである。
なぜワーナーは“高卒”で東芝に入団したのか
ニュージーランドで生まれ、14歳で来日した。父グラントのNECグリーンロケッツのS&Cコーチ就任がきっかけだった。生まれ故郷ではバスケットボールに熱心だったが、来日後はラグビースクールに入り、千葉の強豪・流通経済大学付属柏高校へ進学する。
「同じラグビースクールの友だちが行くというので、自分も同じ高校へ、という感じで。千葉の我孫子に住んでたんですけど、柏は近かったし、ラグビーが強い高校だったので」
東芝ブレイブルーパス東京でリクルートを担当する望月雄太は、高校1年時の花園でワーナーに出会っている。メンバー外の選手がズラリと並ぶなかで、飛び抜けて背の高い選手が目に止まった。
「2年の春の選抜では試合に出ていて、その年の花園で一気に注目されたんですよね。流経大柏の相亮太監督は同級生なので、ワーナーの話をする機会もありました。僕自身も花園で彼のプレーを見て、面白い選手だなと思っていました。継続してチェックをしていくなかで、お父さんから『本人は大学ではなく社会人のトップレベルでやりたいと希望している』と聞きまして」
2年時の花園での活躍をきっかけに、ワーナーは強豪大学が注目する存在となっていた。しかし、彼の胸中では東芝ブレイブルーパス東京への憧憬が育まれていた。
「2016年1月にパナソニックと東芝の試合を観たときに、東芝のFWがすごいなと思って。自分に合うかなと思っていたら、19年にトッド・ブラックアダーさんがヘッドコーチになった。クルセイダーズ(ニュージーランド)のヘッドコーチだった当時から知っていて、すごい人だと思っていました。リーチ(マイケル)さんのようなすごい選手も何人もいるので、東芝に行きたいと思っていたんです」
高校生のリクルートはレアケースだが、2メートルを超える大型ロックである。ポテンシャルは特大だ。望月はトッド・ブラックアダーHCや薫田真広GMに、「間違いなくいい選手になるので、前向きに検討してください」と獲得をプッシュする。結果的にワーナー自身の希望が叶う形で、東芝ブレイブルーパス東京への加入が決まったのだった。