- #1
- #2
格闘技PRESSBACK NUMBER
“ロシア軍最強の男”ハリトーノフがシュルトの顔面を血まみれに…「殴るというよりも破壊」カメラマンが震えた“最も凄惨な試合”の記憶
text by
長尾迪Susumu Nagao
photograph bySusumu Nagao
posted2023/10/06 17:25
冷酷なマウントパンチでセーム・シュルトを追いつめるセルゲイ・ハリトーノフ。あまりの凄惨さに、客席からは悲鳴もあがった
重苦しい雰囲気を払拭した小川直也のハッスルポーズ
リング上に残ったシュルトの血痕。さいたまスーパーアリーナに重苦しい雰囲気が漂う中、その空気を払拭したのが小川直也とジャイアント・シルバの一戦だった。
高校入学後に柔道を始めた小川は、わずか数年でめきめきと力をつけ、国内外の数々の大会で優勝を果たす。1992年のバルセロナ五輪では95キロ超級に出場。金メダルが有力視されたが、決勝で敗れて銀メダルに終わった。
1997年にJRA(日本中央競馬会)を退職してプロレスラーへ転身すると、99年からはプロレスと並行してMMAにも参戦。PRIDEヘビー級グランプリに出場した理由は、小川自身が大きく関与しているプロレス団体「ハッスル」を広めるためだと明言していた。
ゴングと同時に距離を詰めた小川は左ストレートをシルバにヒットさせ、一気にテイクダウンに成功。横四方から馬乗りになり、腕がらみを仕掛けながら最後は豪快にマウントパンチの連打で快勝した。シルバのグラウンド技術の拙さゆえにやや大味な内容だったが、ヘビー級ならではの迫力満点の試合に、観客は大歓声と拍手で応えた。
マイクを持った小川がファンに起立を求める。お待ちかねの“アレ”の時間がやってきた。
「3、2、1、ハッスル! ハッスル!」
会場にいたほぼ全員が、小川のかけ声に合わせて両腕と腰を前後に振る。4万人の壮観なハッスルポーズは懐かしい思い出だ。
第4試合を終えた時点で、すでに「お腹いっぱい」だったファンも多かったに違いない。しかしこの日のPRIDEは、メインイベントにかけてさらなる盛り上がりを見せていくことになる。
<後編へ続く>