濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
朝倉未来“悲劇のTKO負け”を生んだ「34発の壮絶パウンド」…レフェリーストップは“遅すぎた”のか? 怪物シェイドゥラエフが打ち砕いた「RIZIN大晦日の祈り」
posted2026/01/01 17:01
RIZINフェザー級王座戦、王者シェイドゥラエフの猛攻を受ける朝倉未来
text by

橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
「そうはいかないんだな……」
RIZINのCEO・榊原信行の大会総括での言葉だ。
2015年の年末に旗揚げし、今回は10周年の大晦日大会。さいたまスーパーアリーナには4万5043人の観客が詰めかけた。メインイベントはフェザー級タイトルマッチ。ラジャブアリ・シェイドゥラエフに朝倉未来が挑んだ。
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未来はこれが3回目の王座挑戦。勝てば文字通り「3度目の正直」だ。未来はRIZINを牽引してきた、いわば主役であり、ベルトを巻けばRIZIN10年の一つのストーリーが美しく完結する。
「だけど、そうはいかないんだな……と」
王者シェイドゥラエフはキャリア15戦全勝。しかもすべて2ラウンドまでにフィニッシュ(KO・一本)している。16戦目の今回も圧倒的な強さを見せつけた。1ラウンド2分54秒、TKO。グラウンドのパンチ連打でレフェリーストップとなった。
叩き込まれた“34発のパウンド”
開始直後、未来は圧力をかけてくるシェイドゥラエフに鋭い蹴りを放ち、パンチを合わせる場面もあった。
戦前から、未来は「ケンカしにいく」と公言していた。規格外の攻撃力を誇るシェイドゥラエフに対しての真っ向勝負だが、それは無謀なものではなかったはずだ。
キャリアが圧勝の連続ゆえ、キルギスから来た王者には未知数の部分もあった。たとえば、試合が長引いた時の(メンタルも含めた)スタミナはどうか。ピンチを迎えた時にはどんな対応をするのか。弱点は未知の部分にこそあるはずで、それを引き出すためにはシェイドゥラエフを恐れずに攻めていくことが重要に思えた。つまり「ケンカ」だ。
ところが、シェイドゥラエフはケンカを仕掛けようとした未来を丸ごと飲み込んでしまった。組み付くと足を抱えて豪快に投げつける。立ち上がろうとする未来のバックを取るとスープレックスを連発。パウンドを34発叩き込んで試合を終わらせた。そのほとんどがフルスイングだった。
大晦日の惨劇――思わずそんな言葉が頭に浮かぶ。未来は担架に乗せられてリングを降り、救急車で病院に向かった。シェイドゥラエフは「ミクルは投げで首を傷めたようだ」と語っていたが、これは運営側は未確認。検査の結果、眼窩底骨折だったことを本人が深夜にインスタグラムで報告している。


