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男子バレーまさかの逆転負け、連夜の“異変”はなぜ?「第3セットからまるで別のチーム」のナゾ… 石川祐希「もう負けられない」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/02 11:47
フルセットの末にエジプトに敗れ、コート上に集まる選手たち。キャプテン石川祐希の声かけで前を向いた
3位に輝いたネーションズリーグとは「明確な差が生じている」と話すのはリベロの山本智大だ。フィンランド戦の勝利後、「危なかった」と安堵しながらも表情を引き締めこう指摘した。
「今までは(ブロックを)抜けてきたボールを拾う形ができていました。でも(五輪予選では)ブロックの後ろに落ちたり、飛ばされる。『ここを抜ける?』と思うボールが多かった。打たせるところと拾うところをもう1回明確にしないと、という反省はありました」
同じ課題を、フィリップ・ブラン監督も挙げる。
「(3セット目に相手のアウトサイドの選手が代わり)サーブは2人の間を狙え、と指示し、実際に効果もあったが、ブロックが機能しなかった。(エジプトは)サイドの選手がハイボールを打つ。こういう相手にこそブロックが機能しなければならないのに安定を欠き、明確な目的を持ったポジショニングができていませんでした」
サーブで攻めているにも関わらず、相手を止めることができない。第2セットとは異なる展開となったことに加え、ブラン監督がもう1つ課題に挙げたのがサイドアウトを取り切れず、ブロック失点が増えたことだ。
「セットのクオリティが落ち、相手ミドルブロッカー(211cm)の選手がいるにも関わらず、トスが低く、ブロックの近くになったことでスパイカーがクロスにしか打てず、打ち分けができなくなった。打破するためにはサーブでポイントをカバーしなければならない中、我々のサーブも機能しませんでした」
絶好調・宮浦も困惑「モヤモヤ感」
第4セットからにセッターを関田誠大から山本龍に代え、アタッカーが高い打点から打つ場面は増えた。だが「決まった」と思うスパイクも、予期せぬ形で相手に拾われてしまう。それもリズムを崩す一因だったと振り返ったのは、ネーションズリーグで結果を残してきた宮浦健人だ。
時折目線を上に向けながら、一つひとつシーンを振り返り、言葉を絞り出す。
「自分自身もいいスパイクが打てた、と思ったところで拾われたり、その拾われ方も正面ではなく、たまたま身体の一部に当たって上がった、というボールがつながる。そういうケースがこの2試合はすごく多かった印象です。こちらは『打てたのに』と思っても決まらない。でも相手は完全に勢いに乗って、ブロックの間や指先に当てて飛ばされる。『崩しているのに』と思う気持ちが余計に自分たちのモヤモヤ感を生み出していたのかもしれません。準備はしてきたけれど、試合の中で流れが変わる中、切り替えるのが難しかったです」