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男子バレーまさかの逆転負け、連夜の“異変”はなぜ?「第3セットからまるで別のチーム」のナゾ… 石川祐希「もう負けられない」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/02 11:47
フルセットの末にエジプトに敗れ、コート上に集まる選手たち。キャプテン石川祐希の声かけで前を向いた
9月の沖縄合宿で石川が腰痛を発症し、直前まで万全な練習を積めなかったこと。これまでは追う立場であった中、世界ランキング5位まで上がり、逆に追われる立場になったこと。そして何より、五輪予選という他の大会とは比較にならない独特の雰囲気とプレッシャーがあったこと。
苦戦を強いられた要因は多々あるが、実際に敗戦を喫した世界ランキング上位国は日本だけではないことが、ここで勝つ難しさを表す何よりの証である。
エジプトに敗れた直後、石川は進むべき方向を共有すべく、コートに選手を集めて言った。
「あとはもう負けられない。勝つしかないから、切り替えて臨もう」
まだ終わったわけではない。統計や確率では難しくとも、残り5戦を勝利すればまだ今大会でパリ五輪への出場権を獲得できる可能性は残されている。2勝のアメリカとスロベニアを、1勝のセルビアとトルコ、エジプトと共に追う展開が続くが、6チームの勝敗が拮抗すればフルセットで敗れた際に得た「1ポイント」がプラスに働くことだってないわけではない。
そのために、今何ができるか。第3セットからまるで別のチームのように流れが悪くなった要因を問われ、ブラン監督はこう答えた。
「ここまでの試合ではいいパフォーマンスができていたのに、なぜこの大事なところでできないのか。互いの目を見ながら話し合い、解決すべく明日(10/2)のレストデーで要因を探ります」
まだ終わったわけではない。楽観的だと言われようと、まだ5試合もあるのだから始まったばかり。目と目を合わせ語り合う一日を経て、この2戦とは全く異なるチームへと変貌を遂げた姿が、強くて面白い日本代表の姿が見られるかもしれない。そう、胸を躍らせたって間違いではない。
結果がすべて。言われなくてもわかっている。だからこそ、求めるのは奇跡じゃない。まぎれもなくある、日本代表の力だ。
これまで積み上げてきたものは、そんなに柔いものではない。すべて納得いくまで存分に出し尽くし、崖っぷちからの逆転劇、見せてやろうじゃないか。
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【バレーボール・パリ五輪予選】
開催国フランスを含む12カ国に出場権が与えられる。予選はフランスを除く世界ランキング上位24カ国が参加し、ブラジル・日本・中国の3つの会場にて8カ国総当たり戦で行われ、各組上位2カ国が出場権を獲得。残る5枠は来年のネーションズリーグ予選ラウンド終了時(2024年6月24日)の世界ランキングで決定。五輪予選で出場枠を獲得できなかった大陸の最上位国は優先される。