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サイ・ヤング賞候補も有力? 千賀滉大がメジャー1年目で偉大なる功績…200奪三振に防御率2点台、メッツのチームメイトも絶賛する対応力
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byNanae Suzuki
posted2023/10/03 17:01
メジャー1年目の今季12勝をあげ防御率2.96、シーズン200奪三振も達成したメッツの千賀
「You can do it. (いけるよ。できるよ)と声をかけてくれるので心強い。いつも声かけしてくれるのでありがたい」
千賀のシーズン最後の先発となった9月27日のマーリンズ戦も同様だった。
5回無死の場面でピッチャーゴロを処理し、自らベースカバーに入った千賀の元にリンドアをはじめとした内野手たちがが集まった。
千賀に何かアクシデントがあったのでは、と記者席はざわついたが、ダッシュをした千賀を気遣っての行動だったようだ。
リンドアは遊撃手の役割をこう話す。
「野球のコーチだった父に、投手を支えるのが遊撃手の仕事だと教わった。言葉や行動で彼らを支え、鼓舞するように言われ、子供の頃からずっとそうしている」
自身は序盤は打撃不振に悩み、打撃コーチと膝を突き合わせて話し合う様子も度々みられた。
30本塁打&30盗塁のリンドアが「千賀を讃えて」
千賀が好投し、無失点のままで降板した後でタイムリーを放った試合では、「千賀が頑張っていたのに、勝ち星をつけてあげられなくて申し訳ない。僕がもっと打たないといけないのに」と肩を落としたこともあった。
8月中旬から少しずつ調子を上げ、31本塁打と31盗塁(9月30日現在)で今季3人目の「30本塁打&30盗塁」を達成した際には「30本塁打ー30盗塁はもちろんうれしい。でも自分よりも千賀を称えてほしい。1年目で新しい環境でこれだけの堂々とした結果を出すなんてすごいことなんだ」とルーキーながらチームを牽引した千賀を称えた。
開幕前には優勝候補に挙げられていたチームは歯車が噛み合わず不振に終わったが、今オフに立て直すことは間違いない。リンドアをはじめとした野手たちも巻き返しに奮起するだろう。
来季の今頃、千賀や彼等がプレーオフに向けて「熱い立ち位置」で「ひりひりした試合」をプレーしていることを期待したい。