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サイ・ヤング賞候補も有力? 千賀滉大がメジャー1年目で偉大なる功績…200奪三振に防御率2点台、メッツのチームメイトも絶賛する対応力
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byNanae Suzuki
posted2023/10/03 17:01
メジャー1年目の今季12勝をあげ防御率2.96、シーズン200奪三振も達成したメッツの千賀
昨季101勝を挙げ、プレーオフ進出を果たしたチームは、オフにサイ・ヤング投手のバーランダーを獲得し、シャーザーと共に2枚看板の活躍が期待された。しかし開幕から故障や打撃不振でチームは低迷し、オールスター後には売り手に回った。守護神のロバートソンはマーリンズ、シャーザーはレンジャーズ、バーランダーは古巣のアストロズにそれぞれ移籍し、チーム事情は大きく変わった。
移籍した選手たちのロッカーが空き、それを目にする選手たちが空虚感を覚えつつ、それでも日々の試合に向かわなければならなかった。
「日本では(こういう電撃トレードに)馴染みがないので複雑な気持ち。すごい寂しい」
千賀は8月に苦しい胸の内をそう教えてくれた。
自身のメッツ移籍を後押ししたのがバーランダーとシャーザーの2人の存在だったが、その2大エースがいなくなり、千賀の重責は重くなった。
それでも「僕はチームが勝つために投げるだけ」と前を向いた。
実質的に消化試合になった8月以降を「チームがなかなかうまく乗れなくて、勝てなくて、全然気持ちが乗らなくて大変だった」と振り返る。
ソフトバンク時代は6度の日本一を経験するなど常勝軍団にいた千賀にとっては、今季後半はとても長く感じられたのではないだろうか。
「自分の数字のためにマウンドに上がるっていうのが苦しい」
「チームがもっともっと熱い立ち位置だったら」
こう吐露したが、難しい状況でも前を見続け、チームを牽引する投球をし続けたことは来季にきっと繋がるはずだ。
千賀を支えた21歳の捕手アルバレス
千賀と共に戦い、成長しあったチームメイトたちの存在も大きい。バッテリーを組んだメジャー2年目、ベネズエラ出身のアルバレスもその一人だ。千賀から「アルビー」と愛称で呼ばれる21歳が千賀との関係、試合の作り方について教えてくれた。