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サイ・ヤング賞候補も有力? 千賀滉大がメジャー1年目で偉大なる功績…200奪三振に防御率2点台、メッツのチームメイトも絶賛する対応力
posted2023/10/03 17:01
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Nanae Suzuki
メッツの千賀滉大がメジャー1年目のシーズンを終えた。
日本時代も含めてキャリアハイの29試合に先発登板し、12勝7敗、防御率2.98、WHIP(1イニングあたりに許した走者)1.22、202奪三振などでナ・リーグのサイ・ヤング賞、新人王候補にも名前が挙がるほか、7月にはオールスターに選出された。
「自分自身がすごく成長できた1年」
堂々たる数字を叩き出したにも関わらず、千賀の表情からは安堵と共に、わずかながら失意の様子も窺えた。
9月27日のマーリンズ戦で今季最後の登板後、シーズンをこう振り返る。
「怪我なく1年間やれたことが一番大きい。自分自身がすごく成長できた1年だと思う」
メジャーにきてから、新たに取り組んだことも多い。
5月中盤頃からスライダーも配球に組み入れ、100マイル(160キロ)前後の直球を核に、スライダー、カーブ、スイーパー、カット、そして武器のフォークの6球種で打者に向かった。
データの活用もその一つだ。
「漠然と投げていた日本時代と違って、(データを使うことで)何をしなくちゃいけないか、何をしちゃいけないか割り切れるようになったので、マウンド上での切り替えがしやすい」
メジャーへの環境への適応に加え、5月前半以降、4点台だった防御率が減ったのはデータの活用も関係しているだろう。
千賀自身、「いろんなことを試し、挑戦しながら入ったシーズン」と表現するが、自身の投球の核は変えず、しかし必要なことに柔軟に対応し、適応する姿勢も1年目で結果を残せた要因だ。
チームを指揮するショーウォルター監督は「言葉で表現できないくらい素晴らしい選手だ。結果はもちろん、メジャーへの適応も含めて千賀のことをとても誇りに思っている。この1年、一所懸命に取り組んできた姿を見てきたからね。試合はもちろん、試合前後の予習復習もしっかりする選手だ。このチームで一緒に戦えてとてもうれしいし、来季もここでプレーしてくれるのはとてもラッキーだ」と手放しで称えた。
サイ・ヤング投手が相次いで移籍
数字だけを見ると順調なシーズンに見えるが、心を整えマウンドに上がるのが難しいこともあった。