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サイ・ヤング賞候補も有力? 千賀滉大がメジャー1年目で偉大なる功績…200奪三振に防御率2点台、メッツのチームメイトも絶賛する対応力
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byNanae Suzuki
posted2023/10/03 17:01
メジャー1年目の今季12勝をあげ防御率2.96、シーズン200奪三振も達成したメッツの千賀
「試合前のミーティングでは、下位打線を少ない球数で打ち取ること、球数を減らすことなどを目標に掲げ、試合でそれに向かって挑戦した。千賀はいつもすごい集中力で投げていて、打者の些細な反応も見逃さずに目を光らせ、柔軟に対応している」
スペイン語を母国語とするアルバレスは普段、通訳をつけているが「(千賀と僕は)言葉の壁があるけれど、僕の意図する部分を理解してくれる。説明が必要な時には通訳を呼んで、ちゃんと話し合う。要求をきちんと言葉にしてくれるのはとてもありがたいし、千賀はとても柔軟で僕の意見や考え方もきちんと聞いてくれる。それも彼が優秀な理由だと思う」
若い捕手は千賀とのやりとりで多くを学び、自身の成長も実感している。
千賀やショーウォルター監督は難しいフォークをしっかりと止めるアルバレスのブロッキングを高く評価するが、自己評価はさほど高くない。
「自分が捕球していることは、千賀の好投には関係ないと思うんだ。彼は誰と組んでも良い仕事をするし、エグい球ばっかり投げるからね。千賀はいつもポジティブだし、いい雰囲気を作ろうと努力している。マウンドでもオフでも全力を尽くす投手なんだ」
ニコニコしながらこう続ける。
「千賀の考え方や投球スタイルが大好きなんだ。組んでいて楽しいし、一番大好きな投手だよ。千賀は日本でスーパースターだったと思うけれど、メジャーでもスーパースターになると思う」
ミスター・スマイルの遊撃手
後ろを守る野手たちも千賀を支えた。
特に目を引いたのはプエルトリコ出身の遊撃手のリンドアだ。
「ミスター・スマイル」の愛称を持つリンドアは朗らかな性格で気遣いの人でもある。
野手、特に遊撃手は投手がピンチの際にマウンドに歩み寄ることが多いが、リンドアはその行動がとても絶妙だった。
千賀がピッチャー返しやバントを処理したり、一塁ベースカバーに入った後、リンドアがさりげなくマウンドに歩いていく場面を幾度となく見かけた。
「いける、いける」
「いい投球だ」
そんな会話をしつつ、千賀の息が整うのを待って、ゆっくりと自分の守備位置に戻る。
千賀はリンドアについてこう話す。