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「ジェイミーに結構怒られちゃって…」リーチマイケル“まさかのレッドカード”から2カ月…サモア戦激闘で現地記者に明かした“意外な話”
posted2023/09/29 20:17
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kiichi Matsumoto
学習能力。
2016年からスタートしたジェイミー・ジャパンの長所は学習能力にあると思っている。
課題が見つかれば、それを1週間で速やかに解決する。分析力に優れ、課題をクリアするために適切な練習が施され、そして試合では遂行力が高い。
ところが、今年の夏は学習進度が停滞した。
それはレッドカードのせいだった。
7月22日、サモア相手にリーチマイケルがレッドカード。
8月5日、フィジー相手にピーター・ラブスカフニが同じくレッド。
いずれも前半で1人が欠けた状態となり、日本は準備してきたプレーを出すことが出来ず、敗れた。
大会前、国内での盛り上がりがいまひとつだったのも、レッドカード2枚が遠因になっていた気がする。
サモア戦は“何が違った”のか?
果たして、ワールドカップという舞台で、学習範囲をカバーできるのか? その不安はサモア戦のキックオフまで私の中につきまとっていた。
そしてこの夜、日本は本来の能力を発揮した。
その萌芽は11日前のイングランド戦にあった。
スクラムが安定した。長谷川慎スクラムコーチのもと、相手の強みを消すことに成功したのである。
しかし、スクラムから効果的なアタックを繰り出すまでには至らなかった。せっかく安定したスクラムを組んだにもかかわらず、相手防御線裏へのキックにこだわりすぎたせいか、みすみす相手にボールを渡してしまう結果を招いた。ひょっとして、イングランド戦では、相手をリスペクトしすぎたのではないか? プレー選択が間違っていた気がするが、それだけの難敵を相手にしていたのだ。
サモア戦は違った。