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「始まってすぐ、たぶん軟骨が折れて」具智元が涙に暮れた日…救いとなった一言「任せろ、俺たちがベンチにいる」<2019年負傷退場からの復活劇>
posted2023/09/30 11:01
text by
藤島大Dai Fujishima
photograph by
Kiichi Matsumoto
W杯のあった2019年末に話を聞いた
吠えた。泣いた。そして笑った。
すると、みんな、幸せになった。なんというのか、もう、とろけちゃった。具智元(グ・ジウォン)。秘めたつもりで、なお、隠し切れぬ闘争心。波にさらされる船を海に落ち着かせるイカリのごときスクラム。ドルにも円にもウォンにも換算できぬ最高のスマイル。縁の下の力持ちは、ワールドカップ(W杯)におけるジャパンの快挙とともに列島の人気者になり、老若男女に心の平穏を授けた。
「愛されるグーくん」から「国際的スクラメージャー」へ。このほど日本国籍取得、韓国に生まれ、中学生で海峡を渡ったホンダヒートの25歳は、さらに上昇気流をつかむだろう。三重県鈴鹿市のクラブハウスで「あのとき」と「これから」を聞いた。
2年生でU17日本代表に
――南アフリカとの準々決勝からそれなりの時間が過ぎました。いまの心境は?
「そうですね。高校2年のときから絶対の目標として頑張ってきた大会に出られて、しかも終わったあとにも応援されている感じがして。ラグビーの注目度が上がって、始まる前とは全然違う。いま、夢のような気持ちです。本当に」
――大分県佐伯市の公立中学から日本文理大学附属高校へ進み、2年生で、U17日本代表に選ばれた。そのときからW杯を意識していたわけですね。
「はい。ジャパンのジャージィを初めて着て、あれからずっと出たかった大会でいい成績を残せました」
――12月11日の東京・丸の内のパレード、どうでした?
「すごかったです。20分間歩いて、そのあいだ、ずーっと人が待っていてくれて。道だけじゃなくて、よく見たら、ビルの中や屋上にまで人がいて」