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ラグビーPRESSBACK NUMBER
プロポーズは“聖地・秩父宮”、結婚直後に靭帯断裂…ラグビーW杯に人生を懸ける夫を支えたラガーマンの妻「プロップは優しくて力持ち」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKana Kakinaga
posted2023/09/25 11:07
妻・香奈さん(右)の支えもあり、31歳にして初のラグビーW杯代表の座を掴んだプロップ垣永真之介(31歳)
「苦しいことがあっても……」
プロポーズの言葉は、奇しくも現実となる。4月に入籍し、新婚生活真っ只中の7月のこと。サントリーの夏合宿中の垣永から「前十字靭帯断裂」の知らせが届いた。すぐに手術を受けたが半月板や内側靭帯にも及んでいたことから、リハビリは遅々として進まなかった。再手術も経て、完全な状態に戻るまでには結局、2〜3年もの年月を要した。
「あの数年は結構苦しかったですし、今振り返ると家庭の雰囲気もズーンと重かったかもしれません。食生活でも、リハビリの一時期は鶏胸肉しか食べない時期もあって、手を替え品を替え鶏料理を。私も飽きてくるし、主人も飽きていたでしょうけど、今思えば必死だったんですね。試練の時でしたけど、プロポーズの言葉通り、苦しいときこそ支えが必要だったと思うので、これが結婚した意義だなとも感じていました」
2015年W杯イングランド大会のメンバー入りを直前で逃し、雪辱を期した日本開催の2019年W杯出場の夢も潰えた。日本中の注目を集めるなか、アイルランド、スコットランドなど強豪を撃破しベスト8に進出した日本代表。ラグビー界の仲間たちが果たした快挙に歓喜しながらも、ふと口にした垣永の言葉が香奈さんの心にも響いていた。
◇ ◇ ◇
後編では、2019年大会の落選から再び日本代表を目指すまでの道のり、そしてW杯前に行われた“地獄の合宿”の秘話を聞きました。
(続く)
垣永真之介(かきなが・しんのすけ)
1991年12月19日、福岡県出身。180cm、115kg。東京サントリーサンゴリアス。東福岡高時代は花園に3度出場し、2回の全国優勝を経験。早稲田大でもレギュラーを獲得し、2013年度には主将を務めた。2014年にサンゴリアスに加入し、同年11月に日本代表初キャップを獲得。スーパーラグビー・サンウルブズの一員としても活躍した。ポジションはプロップ。愛称は「カッキー」