6年ぶりの日本代表選出というだけでも話題になったが、それだけに留まらない。眞鍋政義監督は、宮部の腕の長さと高い打点からの攻撃力、さらにアメリカで磨かれたブロック力を評価し、本来のアウトサイドヒッターからミドルブロッカーにコンバートした。

　バレーボールを始めたのは小学生からで、確かに高さという武器はあり、日本一をとった経験もある。とはいえミドルの経験は初めてで、ましてやそれが日本代表で、戦うのは自分よりはるかに高さもスキルも経験も勝る相手ばかり。世界選手権やネーションズリーグで成果を残しても、「ヘタクソやから」という言葉が常に先行した。

「もともとミドルじゃないので、ミドルらしいことができない。だからその分、フォローを頑張るとか、ブロックもギリギリまであきらめないで止めに行くとか、そういうところで頑張らないと他のミドルに勝てない部分ばかりなので、とにかく一生懸命さだけは一番出したいと思っていて。すごくうまいわけじゃないけど、でもこの人のために頑張りたい、この人が一生懸命上げてくれた1本は決めて上げたい、とか、人と人のつながりを大切にしたい、と最近すごく思うんです。言葉で発信しようとするとすぐふざけちゃうから、プレーで、そういう面を少しでも出していきたいし、ほんまに頑張りたいんです」

宮部藍梨　©︎Yuki Suenaga

キャプテン古賀「チームに欠かせない存在」

　直前合宿では苦手なレシーブ練習に時間を割き、1本でも多くつなげるように、とボールを追いかけた。試合形式の6対6も、攻撃だけでなくフォローも全力で入る。攻撃パターンも五輪予選に向け新たに変えたこともあり、覚えることはさらに増えたが、わからなければすぐに聞く。同じミドルブロッカーだけでなく、主将の古賀紗理那にも事あるごとに「こういう場面ではどうすればいいか」と尋ねた。その姿勢を古賀も誰より評価していた。

「向上心があるから、もっとこうしたい、もっとこれができるようになりたい、と伝わってくる。自分のためだけじゃなく、チームのために役割を果たせるようになりたい、といつも一生懸命で、前向きに練習するから、こういう選手が雰囲気を上げてくれる。チームに欠かせない存在です」

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