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16歳で代表デビューした“女子バレー超新星”の今「ほんまに頑張りたい」25歳になった宮部藍梨の進化とは? キャプテン古賀紗理那も信頼
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuki Suenaga
posted2023/09/18 11:06
高校時代の活躍も記憶に新しい宮部藍梨。日本代表に復帰してからは、ミドルブロッカーでの起用が続いている
「私はもともと人のプレーを見るのが好きだから、気づいたことをすぐ伝えるんですけど、人によっては『ハイ』って言うだけで響いてないのかな、と思うこともあるんです。でも藍梨は私が言ったことに対して『わかる』と言うだけでなく、『こうやってみたけれどこれが理由でうまくいかない』『だからどうしよう』ってディスカッションができる。それが大きいんです」
だからこそ第3セットの1本は、宮部だけでなく古賀にとっても会心のサーブだった。
「練習でやったことが出るんだなと思ったし、何より藍梨が頑張っていた姿を見てきたから結果が出て嬉しかったです」
接戦の末に第3セットを25対23で制し、ペルーに続いてアルゼンチンにもストレートで連勝スタートを切った。試合後、コートインタビューに立った宮部は「しっかり練習してきたことが点数になって表れているのは自信になった」と満面の笑みで勝利の喜びを噛みしめ、直後のミックスゾーンでは照れ笑いを浮かべた。
「“ぞわっ”とじゃなく、ドキドキしました。変なこと言うたら、どうしようって(笑)」
2戦を終え、パリ五輪への戦いはあと5戦。最後の2戦は世界ランク1位のトルコ、4位のブラジルと強敵が待っている。
だからこそポジティブに、かつ貪欲に。ミドルブロッカーとしてのストーリーは、まだまだ序章に過ぎない。
宮部藍梨(みやべ・あいり)
1998年7月29日、兵庫県出身。ヴィクトリーナ姫路。金蘭会高校では1年時から高校三冠を達成、2015年には16歳(当時高2)で日本代表デビュー。高校卒業後の2017年9月よりサウスアイダホ大に留学、編入したミネソタ大でもプレー。2022年に6年ぶりとなる日本代表登録メンバーに選出された。父がナイジェリア人、妹の愛芽世(あめぜ)とは昨年の世界選手権で共に日本代表としてプレーした。