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ミックファイアとの出会いは「宝くじが当たったようなもの」 御神本訓史が語る“無敗の三冠馬”の衝撃「ああいう競馬をしたことはなかったのに…」
posted2023/09/17 17:01
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
TCK(東京シティ競馬)
無敗の三冠馬・ミックファイアとの出会い
羽田盃、東京ダービー、そしてジャパンダートダービー(JDD)。来年から3歳ダート三冠路線が変更されるため、南関東三冠がこの3レースで争われるのは今年が最後となった。
その意味でも競馬史に残る今年の南関東三冠で、とてつもない走りを見せつけたスーパーホースがいる。
大井生え抜きのミックファイア(牡、父シニスターミニスター、大井・渡邉和雄厩舎)である。
羽田盃と東京ダービーを6馬身差で圧勝。JDDでは「非常に強い」と言われていたJRA勢を切って捨て、22年ぶり、史上2頭目となる無敗での南関東三冠制覇を達成したのだ。
「ぼくがミックファイアに乗れたのは、本当に、宝くじが当たったようなものだと思います」
主戦騎手である、大井の御神本訓史はそう話す。デビュー2年目の2000年に益田競馬場でリーディングとなり、2007年にはフジノウェーブで地方所属馬初のJBC優勝を果たすなどして「天才」と称される名手である。
ミックファイアは2歳だった昨年、ほかの騎手の手綱で3戦(3勝)しただけで、御神本との初コンビとなった5月10日の羽田盃がキャリア4戦目。まさに彗星のごとく三冠戦線に現れたわけだが、このコンビが結成されたのも、三冠の開幕直前のことだった。
「羽田盃の出走登録がレースの10日くらい前だったのですが、騎乗依頼を受けたのもそのときでした。まだ3回しか使っていなかったので、賞金的に出られるかどうかもわからない状況で。それでも、自分にはクラシックのお手馬がいなかったですし、3回やって負けていないという伸びしろがあることも魅力に感じました」
ミックファイアの新馬戦と2戦目に乗った矢野貴之は京浜盃で3着になったオピニオンリーダー、3戦目で騎乗した本田正重は同じ京浜盃で2着に来たトノパーと、羽田盃での騎乗馬が決まっていたため、御神本に声がかかったのだ。
「今年のクラシックはヒーローコールをはじめとする上位3頭ほどで勝負づけが済んだようなメンバーでした。正直、それが引っくり返ることはまずないだろう、と」
羽田盃でミックファイアは単勝13.6倍の4番人気。5カ月の休み明けで、前走から馬体が16kg減っていた。なお、1番人気は鎌倉記念と雲取賞を勝ち、JRAのオープン戦・伏竜ステークスでも3着に食い込んだヒーローコールだった。