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ミックファイアとの出会いは「宝くじが当たったようなもの」 御神本訓史が語る“無敗の三冠馬”の衝撃「ああいう競馬をしたことはなかったのに…」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byTCK(東京シティ競馬)
posted2023/09/17 17:01
ジャパンダートダービーでJRA勢を撃破し、無敗のまま南関東三冠を制したミックファイア。主戦の御神本訓史が語る同馬のポテンシャルとは
「外のミトノオーが行く形になって、それでも2、3番手ぐらいは取れるかなと思っていたら、内からもプレッシャーがきつくて、不利まではいかないけど、厳しい展開になりましたね。みんなギリギリのところを攻めてきているな、勝ちに来ているな、と感じながら1コーナーに入って行きました。ミックファイアは今までああいう競馬をしたことはなかったのに、最後まで気持ちが切れなかったのはすごいと思います。直線入口ではミトノオーと結構離れていたので、ちょっと厳しいかなとも思いましたが、ラスト200mを切ったぐらいのときに向こうの脚色が鈍ったので、『これはかわせる』と必死に追いました。ハッピースプリントが三冠を獲れるかというときにカゼノコに鼻差で阻止された(2014年)のも見ていたので、最後まで気が抜けませんでした。いつも先行して上がり最速の脚を使えるのは、心肺機能がすごいからでしょうね」
ゴール後、左の拳を2度、3度と握りしめるガッツポーズを見せた。
「気持ちが爆発したというか、結構派手にやってしまいましたね(笑)。インタビュアーの人に返す言葉を探しているとき、13回挑戦してダメだった東京ダービーの悔しさとかを思い出して、ちょっとグッと来ました」
「古馬とやって、負けることもあると思います」
次走は10月1日に盛岡競馬場で行われるダービーグランプリ。過去6戦すべてが右回りの大井だったこの馬にとって、初めての左回りとなる。
「JRAのダートGIはどちらも左回りなので、それを意識したのかもしれません。テンションが上がりやすいので、輸送も、左回りも心配です。まだ3歳ですから、これからいろんなことをどんどん試して強くなっていくのでしょう。古馬とやって、負けることはもちろんあると思います。この間の帝王賞(6月28日)なんて同じ2000mで、勝ち時計が2秒半以上速かった。まだそのぐらい差があるので、縮めていかなきゃいけない」
無敗の三冠馬の主戦となったことで、馬に教えられ、また成長できたのではないか。
「いや、まだです。これからだと思います。教わっている最中かもしれないですね」
インタビュー後編では、波瀾万丈のジョッキー人生を歩む御神本に、自身の足跡を振り返ってもらった。
<後編につづく>