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ミックファイアとの出会いは「宝くじが当たったようなもの」 御神本訓史が語る“無敗の三冠馬”の衝撃「ああいう競馬をしたことはなかったのに…」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byTCK(東京シティ競馬)
posted2023/09/17 17:01
ジャパンダートダービーでJRA勢を撃破し、無敗のまま南関東三冠を制したミックファイア。主戦の御神本訓史が語る同馬のポテンシャルとは
「羽田盃から200m延びる2000mという距離にも不安がありました。最初に跨ったときに『短いところ向きの馬なんじゃないかな』という印象を受けましたし、テンションも上がりやすいので。羽田盃の内容から、あれだけ印がついて1番人気になるのは仕方がないところですが、負ける可能性も想定していました」
しかしミックファイアは彼の不安を吹き飛ばし、2番手から羽田盃と同じように弾けて、6馬身差で圧勝した。
「走ることが好きで、前向きに走ってくれる馬なのですが、ペースを結構遅くすることができて、正面スタンド前でふっとハミが抜けるくらいの格好を取ることができました。ぼくもダービーの魔物に取りつかれつつあって、南関東同士で最後となる今年勝てなかったら、今後チャンスはなかなか来ないと思って、緊張しました。いい意味の緊張ではなく、ガチガチに近かった(笑)。それでも、返し馬に出ると落ちつきました。馬もガス抜きができましたし。ダービーで(勝ち馬として)選ばれる馬って、決まっているのかもしれませんね。ジョッキーにしても。運が巡ってきた馬と人が勝つのかな、と感じました」
川田将雅も「強い」と語ったJRA勢を相手に…
そして三冠を締めくくる、7月12日のJDD。出走馬11頭のうち7頭がJRA所属馬で、3連勝で青竜ステークスを勝った川田将雅のユティタム、伏竜ステークス、兵庫チャンピオンシップなどを逃げ切った武豊のミトノオーといった世代トップクラスの強豪もいた。
さすがに無敗の三冠獲得に臨む重圧はあったのではないか。
「いや、相手も流れも違うと、同じことをしなくてもいいので、むしろプレッシャーはなかったです。新しいレースをもう1回つくらないといけなかったのですが、やってみないとわからない部分が多かったですしね。あわよくば三冠を獲りたい、獲らせてあげたいとは思っていました。1番人気になっていることはパドックでわかりました。多くのファンの応援がこめられているのは感じましたね。メンバーも、(川田)将雅が『今年は強い』と言っていたように、三冠最終戦にふさわしいと思いました。このメンバー相手にどれだけやれるのかな、という楽しみもありました」
ゲートが開いてほどなく、内のユティタムと外のミトノオーに挟まれるような形になった。1000m通過60秒2は、同じコースで行われた東京ダービーより3秒以上速い。厳しい流れのなか、5番手につけたミックファイアは、大きなリードを取っていたミトノオーをゴール前でとらえ、無敗の三冠馬となった。