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「物価高…カレー弁当1900円、ビール1杯1300円、電車は20分遅れ」ラグビーW杯、フランス現地記者ここまでの本音「4年前、日本は良かったなあ」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/09/13 11:05
アイルランドの女性ファン(ボルドーの会場で)
最初の打撃は、無料の「メディア食堂」が消えていたことだった。
4年前、日本大会では12会場、すべてで温かい食事が提供されていた(私が回ったのは9会場)。当然、同じサービスが提供されるものだと思い込んでいた。しかし、それは甘かった。
用意されていたのは、Volvic、すなわち水とコーヒー、マドレーヌだけだった。
嗚呼! なんということか! 私は「辛口」さえも期待していたというのに!
食事の提供はなかったのだ。
予算を削減したということだろう。
私の知る限り、前回の日本大会では統括団体であるワールドラグビーから「温かい食事を提供するように」と“指令”が飛んだと聞いていたのだが、フランスは言うことを聞かなかったのか、それとも統括団体は日本相手にだけすごんだのか?
今回はそのかわり、メディアセンターの横にキッチンカーがあり、そこで買う仕組みになっていた。写真部員Mくんはカレー、私はサラダ。3種類の具とドレッシングを選んで注文した。これで、12ユーロ(約1900円)。
これは物価的に、かなり厳しい戦いを覚悟しなければならない。
「メディアバスもありません」
メディアに対する予算削減は、「輸送」にも表れていた。日本大会では綿密な輸送計画が練られ、メディアバスは定時に運行していた。
ところが、である。
ここフランスでは、夜遅い9時キックオフの試合しかメディアバスが出ないことが、開幕数日前になってようやく分かったのだ。
自力でなんとかせよってことだ。
ボルドーでは、行きはまだよかったが、試合終了後はカオスだった。
その要因は、陽気なアイリッシュたちである。