「妻がポジティブな性格なのでとても助かっています。開幕してから、いつも変わらず『明日、明日』とか『次の試合は打てるでしょ』って言葉を掛けてくれるので、本当にありがたいですね」

©Nanae Suzuki

　チームの雰囲気が落ち込んでいても、自分が凡打を喫しても、牧は今季もベンチで声を出しつづけている。諦めることなく、チームを鼓舞するために。

同い年、山本祐大の活躍に「本当にすごい」

　長いシーズン、雌伏の時間もあれば、うれしい出来事もある。今季後半、牧と同じ1998年生まれで捕手の山本祐大が一気に台頭し、チーム内で存在感を高めている。ルーキー時代に牧は、山本の車に同乗し、寮と横浜スタジアムを行き来し、いろいろなことを語り合ってきた仲だ。そんな山本の活躍を、牧は自分のことのように喜んでいる。

「いやもう本当にすごいですよ。シーズン前半は週に1回出場があるかないかの状況、少ない出番で結果を出すのは精神的にも厳しいものなんですけど、そこでしっかり結果を出してきたし、それが今の状況に繋がっていると思います。とにかく研究熱心なキャッチャー。また悔しいときはめっちゃ悔しがるし、打ったときはめっちゃ喜ぶ。喜怒哀楽の部分で、切り替えができるのが、祐大のよさですよね」

祐大はピッチャーにすごくしゃべりかける

　ピンチの際、捕手や内野手はマウンドに集まるが、そのときの山本はどんな様子なのだろうか。

「祐大はピッチャーにすごくしゃべりかけるんです。相手の気持ちを見ながら、自分の気持ちをしっかりと伝える。とにかくピッチャーに自信を持って投げてもらえるように」

　山本本人は牧について「大きな存在。1年目から活躍しているし、野球に対する姿も真摯で真面目。本当にいい刺激をもらっているし、世代交代するとき僕らの代で引っ張っていきたい気持ちがあるので、牧に負けないように頑張りたいと思います」と語っている。

©Nanae Suzuki

これは1年目から思っていることなんですけど…

　若い力の台頭。そういえば数カ月前、牧はこんなことを言っていた。

【次ページ】　知野のグランドスラムに「本当によかった…」