引退後には解説や指導者、普及活動などバレーボールに積極的に携わるOBやOGが多い中、木村はむしろ「バレーボールは好きだから応援したい」と表に出る機会を控えてきた。昨年からようやくネーションズリーグで解説に、世界選手権では生中継に連日登場する機会もあったが、「解説は苦手」と苦笑いを浮かべてきた。

　だからこそ、小学生バレーの全国大会でアンバサダーを務めるというのはやや意外でもあった。しかも就任を打診された時、あれほど「やりたいことが見つからない」「仕事こそ優柔不断になる」と悩んでいた木村が、ほぼ二つ返事で引き受けたという。

「小学生と聞いて、すごく、やりたい！　と思ったんです。まずは自分も小学生と同じような感覚でバレーボールを見たり、大会を楽しみたい。アンバサダーという役割が、私に務まるかわからないけれど、でも私でいいなら子どもたちと一緒に楽しんでやりたい、と純粋に思いました」

©︎Asami Enomoto

全力で悔しがる姿にもらい泣き

　3日間にわたって繰り広げられた大会に、足を運べたのは最終日のみ。限られた時間ではあったが、目の前で一生懸命プレーをして、勝って喜び、負けて悔しがる。そんな姿に思わずもらい泣きした。

「ボールが重たそうなところとか、パスがなかなか飛ばないところとか、私もこうだった、と懐かしくて。小学生って、それこそバレーボールを始めたばかりで身長もネットをかがまずくぐれるぐらい小さい子もいれば、もう何年もやって上手な子も、大きい子もいる。いろんな違いが一番出る世代なんですよね。中学生になると全国大会の上位チームでやりたいと望む子も出てくるし、目指すところも競技レベルも少しずつ変わってくる。だからすごく純粋に、いろんな違いがある中でみんなが一生懸命にバレーボールをしている姿を見たら、ものすごく感動しました。もっといっぱい、いろんな人に見てほしいです」

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