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バレーボールPRESSBACK NUMBER
母になった木村沙織が初めて語る、子煩悩な夫との“チーム感”と出産までの知られざる葛藤…待望の長男誕生も「報告するのも迷いました」
posted2023/08/31 17:03
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Asami Enomoto
大きな襟が特徴的な水色のシャツに、明るいリップの色も映え、耳元にはパールのピアスが光る。質問のたびに目をくるくる動かしながら考え、時折楽しそうに手を叩いて笑う。2017年の現役引退から6年が過ぎても、木村沙織は周囲がイメージする木村沙織のままだった。
8月19日には37歳の誕生日を迎えた。変わらぬ風貌のままではあるが確実に違う姿が一つ。時折聞こえる泣き声に、母の顔が垣間見えること。
「息子を産んでから、ちゃんと衣装を着て、メイクもして、取材をしてもらうのが(この日が)初めてなんです。しかも、私から離れて息子を母に預けることも初めて。慣れない場所だと息子も寝られなかったり、不安もありますが、手探りしながら、ひとつひとつみんなで慣れていけたらいいのかなって思っています」
不安と隣り合わせだった妊娠生活
今年2月、長男を出産した。
同日更新されたインスタグラムには、祖父が命名したという「煌太郎(こうたろう)」という名前や、「産まれてくる瞬間も困難をサラッと乗り越えてきた我が子に感謝」と、妊娠までの不安が綴られていた。
言葉だけを見れば、妊娠や出産の喜びを短くも彼女らしく、上手に表現しているな、と思う。だが、漂う明るさとは裏腹に、実際は大きな不安と困難を抱えながらの妊娠生活だったと明かす。
「もしかしたらダメになる可能性もある、と言われていました。結婚して7年、なかなか授かることもできなくて、妊活して、やっとできたけど妊娠中もどうなるかわからない。最悪の場合を考えて、なるべく周りには言わないようにしていました」
つわりもなく、お腹の膨らみも目立たなかった。周囲から妊娠を気づかれることはほとんどなかったため、妊娠中も変わらずできる仕事をして日々を過ごしてきた。