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男子バレー46年ぶりの快挙なぜ実現? 石川祐希+優秀セッター&リベロの存在+高橋藍ら若手台頭…まるでドラマみたいな“幸せな好循環”
posted2023/07/25 17:04
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
FIVB
日本男子バレーは強くなった。
それをついに“メダル”という目に見えるカタチで証明した。
バレーボールの国際大会・ネーションズリーグで、予選ラウンド10勝2敗の2位でファイナルラウンドに進出した日本代表は、3位決定戦で昨年の世界選手権王者・イタリアを破り、初めて銅メダルを獲得した。
その中心には主将でエースの石川祐希(パワーバレー・ミラノ)がいた。
ネットぎわの魔術師か――。石川の巧みなスパイクに何度うならされたかわからない。
強烈なスパイクを叩き込んだかと思えば、フェイントを落としたり、絶妙な力加減でブロックに吸い込ませたり、当てて出したり。多彩という言葉では足りない、変幻自在の技でポイントを重ね、今大会最多の275得点を獲得。ベストスコアラー賞、ベストアタッカー賞を受賞し、ベストアウトサイドヒッターに選出された。
石川の“日常”が詰まっていたイタリア戦
特にファイナルラウンドでは頼もしさが増した。準々決勝のスロベニア戦では、3セットで27得点と、1人で1セット分以上の点を奪った。そして3位決定戦のイタリア戦には、まさに石川の“日常”が詰まっていた。
中央大学時代から世界最高峰リーグのイタリア・セリエAで8シーズンキャリアを重ねてきた石川にとっては、メダルをかけて戦うイタリア代表選手たちは、日常的に対戦してきたよく知る相手。1人1人の特徴や性格などを踏まえ、無数の引き出しの中からその場でベストな選択をして得点につなげていく。第5セットの最後はレフトからブロックを弾き飛ばし、メダル獲得を決めて全身で喜びを爆発させた。
フィリップ・ブラン監督が試合後の中継インタビューで、「石川は技術的、戦術的にも長けていたが、それに加えてリーダーシップも発揮して非常にチームを引っ張っていた」と讃えたように、特に勝負どころではギアを上げ、気迫あふれるプレーとパフォーマンスでチームを鼓舞した。