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「海外に行ったら代表に呼ばれない」“日本バレー鎖国時代”に加藤陽一はなぜ海を渡ったのか? 石川祐希、高橋藍へ続くイタリア挑戦の系譜
posted2023/10/17 11:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO SPORT
バレーボール大国イタリアが誇る世界最高峰リーグ・セリエAに挑み、優勝タイトル「スクデット」を獲った唯一の日本人が、元日本代表で主将も務めた加藤陽一(47歳)である。
21年前、現主将の石川祐希や高橋藍に先駆け、各国のスター選手が競い合うイタリアでトップレベルの戦いに飛び込んだ。
「本物の世界を知りたかった。プロとしてバレーボールで生活していくとはどういうことなのか、ずっと興味があった」
地球の裏側で予期せぬ苦労と思わぬ発見。良き指導者との出会い。先駆者だった加藤の記憶は今も鮮明そのもので、濃密な海外経験は現在の龍神NIPPONへの思い入れにもつながっている。まるで昨日までコートに立っていた現役選手のように、加藤は目を輝かせて話し始めた。全3回のインタビュー第1回目(第2回、3回へ続く)。
「時代が早すぎました(笑)」
――現在の日本代表を見て、過去と比べて強くなったなと感じるところはどこでしょう。
加藤 今の代表チームは役割分担がすごくできているなと思います。プレーで言うとお見合いが少なくなりました。それから、状況判断のスピードと決断力がめちゃくちゃ速い。チーム全体の思考能力が早いから相手よりも動きが速くなる。あとはやはりサーブで相手を崩して、自分たちの有利な形にはめていく。相手にとっては嫌なバレーですが、細かな約束事が徹底してできているチームだと思いますね。
――主将の石川選手や高橋選手は、かつての加藤さんのようにセリエAでプレーしています。
加藤 試合は見てます。去年のリーグ最終戦で最後の場面を石川選手が決めて勝ったのも見ました。ああ成長してるな、うらやましいなというのが正直な気持ちですね。今、セッターが1本目を取って石川選手が打つふりして両サイドに上げる“フェイクセット”は当たり前じゃないですか。(Vリーグ時代に)僕がそれをやったら『おまえ何やってるんだ』と怒られたんですよ。時代が早すぎました(笑)。