- #1
- #2
バスケットボールPRESSBACK NUMBER
「世界で戦う上で気持ちで負けては…」“異端シューター富永啓生”の父・啓之さんが語る「めちゃくちゃ叱った」高校時代〜22歳の秘話
text by
大柴壮平Sohei Oshiba
photograph byGetty Images
posted2023/08/29 11:05
バスケットボール日本代表で存在感を見せる富永啓生
「手を抜いているときには叱りましたね。それこそ桜丘高校時代も地方大会で適当にやっていたので、めちゃくちゃ叱ったことがあります。身が入っていないのが一眼でわかるし、ディフェンスをしなかったりしたので」
実は以前富永を取材したときに、私は本人の口から同じエピソードを聞いたことがある。
「自分では一生懸命やっているつもりなんですけど、父から見ると本気を出していないように見えるときがあるみたいで」
啓生は大舞台に強いんです。まあそれでも…
しかし、簡単な試合だからと言って手を抜いているのではなく、強い相手の方が燃えるので、自然とパフォーマンスが上がるというのが本人の言い分だった。ウインターカップ、オリンピックの3x3、アジアカップ、NCAAと常に大きなステージで力を発揮する息子の姿を見続けてきた今、それは啓之さんにも伝わっている。
「啓生は大舞台に強いんです。大勢の人に見てもらっている中でプレーするのが本当に大好きなので。僕も今からワクワクしていますよ」
そう言ったあと、啓之さんはこう付け加えるのも忘れなかった。
「まあ、それでも毎試合100%でやらなければダメなんですけどね」
幼き日の富永少年を戒め、導いてきたその言葉は、今は成長した息子の活躍を楽しむ一人の父親の、照れ隠しのように聞こえた。
<前編からつづく>