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バスケットボールPRESSBACK NUMBER
「1歳からゴミ箱に投げるスナップがキレイで」3Pシューター富永啓生の父(元日本代表)が伝え続けたこと「シュートを決めてなんぼだろ」
posted2023/08/29 11:04
text by
大柴壮平Sohei Oshiba
photograph by
Kiichi Matsumoto
バスケットボール男子のワールドカップ第2戦。日本は格上のフィンランドを相手に一時18点差をつけられるなど苦戦を強いられたものの、若い富永啓生と河村勇輝がスリーポイントシュートを決めるなどして流れを引き寄せ、98対88で劇的な逆転勝利を収めた。
ワールドカップでの日本の勝利は、前身の世界選手権で2006年にパナマに勝利して以来、実に17年と6日ぶりの快挙だった。
日本の歴史的な勝利を支えた一人が、現在ネブラスカ大学でプレーする22歳の富永だ。高精度のスリーポイントシュートが最大の持ち味である日本屈指のシューターは、どのような道を歩み、どのような覚悟を持ち、今回のW杯を迎えているのか。
今回、自身も元日本代表として活躍した父・啓之さんが、息子・啓生のルーツと魅力、その成長ぶりについて語ってくれた。
昔と今じゃ話になりません、いい意味で
「そんなこと偉そうに言えないですよ。昔と今じゃ話になりません、いい意味で」
笑い声と共に、211cmの巨体が揺れた。私が元日本代表として現在の代表チームをどう見るかという趣旨の質問をしたときのことだ。
「日本のバスケットボールのレベルは上がったと思います」
そうにこやかに話してくれたのは、富永啓之さん。日本代表のスコアラー、富永啓生の父上だ。
富永は昨年日本代表デビューを果たすと、すぐに結果を出した。アジアカップのオーストラリア戦で挙げた33得点は、21世紀に入ってから21歳以下の選手が記録した最高得点ということで、FIBAの公式ホームページでも記事になった。あれから1年が過ぎ、今ではホーバス・ジャパンに欠かせない存在となった富永だが、普段はアメリカを拠点としているため、活躍の度合いに反して情報量が少ない。
啓生が生まれたときから枕元に7号球を
富永啓生の代名詞と言えばスリーポイントシュートだ。オリンピックだろうがアジアカップだろうが、短大だろうがNCAAだろうが、どれだけハイレベルな舞台に行ってもウインターカップと変わらぬ調子で決め続け、いまだに天井を知らない。
特筆すべきはハーフコートからでもフォームを崩さずに打つことができるそのレンジで、NBAでもステフィン・カリー、デイミアン・リラード、トレイ・ヤングと限られた選手しか積極的に狙うことのない距離から楽々とシュートを沈めることができる。こうしたシュートの才能は、いつ頃開花したのだろうか。