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「世界で戦う上で気持ちで負けては…」“異端シューター富永啓生”の父・啓之さんが語る「めちゃくちゃ叱った」高校時代〜22歳の秘話
posted2023/08/29 11:05
text by
大柴壮平Sohei Oshiba
photograph by
Getty Images
私が富永啓生を取材する中で常々感心しているのは、その賢さだ。賢いと言っても、河村勇輝のようにしっかりと自分の考えを言語化できるような利発なタイプではない。渡邊雄太のような、セルフブランディングに長けたタイプとも違う。正しい、正しくない。必要、不必要を直感的に判断できるし、一度決断したらぶれない。そんな聡明さが富永にはある。18歳でアメリカ挑戦という決断を下したのも、その表れだ。
色々な方々のおかげなんですよ
そんなことを伝えると、啓之さんは笑いながら言った。
「そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、人に恵まれたんだと思います。たしかに高校卒業後にアメリカに行ったのが一番大きな決断でしたが、あれは高校の先生をはじめ、色々な方々のおかげなんですよ。ロイブルさんにも『海外に出た方が啓生の可能性が広がる』と後押ししていただきました」
そもそも、無名で世代別代表とは無縁だった高校2年生の富永をU16代表に抜擢したのが、当時アンダー世代のHCを務めていたロイブルだった。そのロイブルの後押しもあり、富永はアメリカ行きを決断。名門ケンタッキー大学でも指揮を執った経験のある名将ビリー・ギリスピーのいたレンジャー・カレッジに入学すると、その後すぐに活躍が認められてネブラスカ大学からオファーを受けるにいたった。
ボロカス言われても“俺が決めて黙らせてやる”
啓之さんから見て、富永はアメリカ挑戦を経てどう変わったのだろうか。
「みなさんもバスケットLIVEの動画なんかを見て気づいていると思うんですが、啓生は普段は本当に大人しい性格なんです。コートの中と外では全く違う。僕もびっくりするぐらい試合に入り込むんですよ。オフコートではアメリカに行って特に変わったとは感じないですね。インタビューを見ると多少は喋りが成長したとは思いますけど」
たしかに、オフコートの富永は母ひとみさん似の切れ長の目を細めて、常に柔和な笑みを浮かべている印象がある。