メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
大谷翔平はエンゼルス“悪夢の8月”に何を思う…離脱中のトラウトが「本当に最悪」と嘆き、ネビン監督が“ベンチでキレた”苦しすぎる内幕
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph byGetty Images
posted2023/08/18 17:00
今季もMVP級の活躍を続ける大谷翔平だが、エンゼルスは8月に入って急激に失速。プレーオフ進出は厳しい情勢となっている
監督自身は純粋な気持ちで言ったと思うが、少し皮肉のようにも聞こえた。ジャイアンツ打線に、大谷やトラウト級のスーパースターは誰一人いない。シーズン前の下馬評は低かったが、プレーオフ圏内に必死に食らいついていた。
しかし、エンゼルスは……。頼みのトラウトが7月3日の試合で左手有鉤(ゆうこう)骨を骨折。史上最強デュオの一角を欠いた打線は迫力を失った。
大黒柱の離脱はチームに大打撃を与えた。リハビリ中、トラウトは献身的に全体練習前のミーティングに参加し、盛り上げていたが、グラウンドにリーダーを失ったエンゼルスは敗戦を重ねた。
球宴後、少しチームが持ち直したのは対戦相手との兼ね合いも大きかった。アーロン・ジャッジを欠き、打線が全く機能しないヤンキース。そして、プレーオフの目標が消えたパイレーツと低迷を続けるタイガース。この9試合を8勝1敗で乗り切ったことで、エンゼルスはトレード期限に向けて「買い手」に舵を切った。
長期的なチームづくりには目を背け、トレード期限までに「レンタル選手」を計7人補強し、「今」だけを見つめた。
だが、その結果は悲惨だった。8月1日にトレード・デッドラインを迎え、そこから泥沼の7連敗。最悪のパターンで、失望の8月初旬を送った。試合後のクラブハウスは日に日にどんよりと重い雰囲気が漂った。
ホームで屈辱の7連敗を喫した試合後、昨季トレードで入団した25歳のミッキー・モニアクが取材に応じた。
「明らかに辛いし、厳しい状況で楽しくはない。でも、俺たちはやるしかない。頭を切り替えて準備するだけだ」
一時勝ち越しにつながる安打を打ち、8回にスーパーキャッチを披露したとはいえ、モニアクは敗戦を背負うにはまだ荷が重すぎる。
トラウトが漏らした本音「本当に最悪だ」
7連敗を喫した試合の翌日、フィル・ネビン監督はチームの状況を問われ、こう言った。
「今、選手たちに叫んだり、怒鳴ったりする必要性を感じない。今季序盤は選手が適切な準備ができていない、勝つための野球ができていないと思ったことはある。でも、今はしっかりと準備して勝つためにやろうとしている。少しのことで、うまくいったり、うまくいかなくなるのが野球なんだ」