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大谷翔平はエンゼルス“悪夢の8月”に何を思う…離脱中のトラウトが「本当に最悪」と嘆き、ネビン監督が“ベンチでキレた”苦しすぎる内幕
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph byGetty Images
posted2023/08/18 17:00
今季もMVP級の活躍を続ける大谷翔平だが、エンゼルスは8月に入って急激に失速。プレーオフ進出は厳しい情勢となっている
確かに選手たちは必死だった。だが、一度狂った歯車をなかなか戻せないのが、このチームの最大の弱点だ。6月下旬からオールスターブレークにかけての11試合もそうだった。1勝10敗。チームが勝てなくなるとここぞで「あと1本」が出なくなり、投手は四球で自らを追い詰める。それは8月初旬に再び繰り返された。
このチームには、時に激しい言葉や行動で選手たちを牽引するリーダーが必要なのかもしれない。修羅場をくぐった経験を持つリーダーが。
昨季、土壇場でプレーオフを勝ち取ったマリナーズは8月のエンゼルスとの4連戦、ピンチで捕手がマウンドに行った際に、遊撃手のJ・P・クロフォードもマウンドの投手に歩み寄ってゲキを飛ばした。一方のエンゼルスは捕手がマウンドに行っても、ほとんど内野手は投手に近寄らない。どこか勝利への執念、大事な場面での1球の集中力に欠けているように映った。
絶対的な存在の大谷はどちらかといえば、その圧倒的なプレーや“背中”で引っ張るタイプだ。WBCで示したように“言葉の力”も持っているが、アメリカでは言語面での壁もある。リーダーとなりうるトラウトが8月にグラウンドにいなかったことも、転落の一途をたどった一因だろう。
テキサスでリハビリ中のトラウトはこう語った。
「自分がプレーできないこと、そしてチームが負けているのを見るのは本当に最悪だ」
「がっかりだ」ネビン監督がキレた日
ネビン監督が「今は怒鳴ったりする必要を感じない」と話した1週間後の8月14日、指揮官はベンチでキレた。
「試合の始まりから集中力が欠けていた。今季初めて見た。がっかりだし、腹が立つ」
負けが込み、テキサスへの遠征で実力差を見せつけられた選手の士気は下がっていたのかもしれない。
監督が激怒した翌日の8月15日、レンジャーズに投打で完敗し、プレーオフ圏内のブルージェイズとのゲーム差は「8」まで広がった。試合後のクラブハウスには、負けることを簡単に受け入れている選手がいたようにも見えた。
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