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「英語が堪能、ドイツ語のサッカー用語も」FW佐藤恵允22歳が“明治大→ブンデス加入”「Jクラブに危機感」有望な中・高校生の進路志向とは
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byDeFodi Images/Getty Images
posted2023/08/18 17:01
パリ世代日本代表でも中核としての期待がされる佐藤恵允（22歳）
まずブレーメン側のリサーチがある。日本の大学のシステム、そして先のカタールW杯でドイツ代表を破った日本代表チームに大卒組が9人も名を連ねていたことを調べた上で、今回の獲得に動いた事実がある。
さらに彼らはU-22日本代表戦、佐藤が2月の練習に参加した期間を含め、その実力を繰り返し見極めるなど、労力とコストをかけてきた。ブレーメンからしたらこのルートが“金の鉱脈”となる可能性がある。無下な扱いをする心配はいらないだろう。
では「獲得される側」の事情はどうなのか？
上記のように、「獲得する側」の論理は明確だ。
では「獲得される側」の事情はどうなのか？
具体的には、佐藤がJリーグのクラブを経由しないで海を渡る決断をしたのは何故だったのか。当然、多くのJクラブが興味を示していたわけだが……。また、日本代表の守田英正のように流通経済大学から川崎フロンターレ、サンタクララを経由して、スポルティング・リスボンのような名門に入った選手は存在する。大卒でJリーグを経由すると海外挑戦が不可能になるわけではない。
ただ、実は今回の入団には、佐藤自身の夢が大きく関係していた。佐藤はこう話す。
「自分の夢は『ヨーロッパで活躍して、日本代表になり、W杯に出ること』です。今回のブレーメンの加入についても、自分の夢に何が最も近いのかを考えたときに、ドイツの1部で出ることが一番早いと考えました」
栗田監督は佐藤と何度も面談を重ねて本気度を測り、入学から4年間かけて佐藤のメンタリティに触れてきた。大学4年の途中にサッカー部を退部して、ドイツでの新シーズンに合わせてブレーメン加入を薦めたという（※佐藤は退部するものの、籍は大学に残す。今年度の前期で卒業に必要な単位の取得が見込めるため、今年度中の卒業を前提としている）。
その背景には4つの観点がある。
「パッションがあること。コミュニケーションスキルが高いこと。英語が堪能であること。壁が高くなればなるほど目の前のチャンスを掴む何かを持っていること」
そして、栗田監督が力を込めて発した以下のメッセージを前に、理路整然とした反論をできる人がどれくらいいるのだろうか。
「本人のサッカー人としての目標とする場所に、どうやったら最短でたどり着くのだろう。一番現実的な道がどこなのだろうというところから動き出しました。
海外で活躍したい夢があったとしても、日本で活躍できなければそのまま終わってしまうリスクがあります。（中略）国内のクラブに行ったとして、Jリーグで試合に出られなかったとすると、海外で活躍する夢はその時点でなくなってしまうので……」
“海外直行”にJクラブ関係者が危機感を覚えている
日本のJリーグクラブを経由しないで海外へ行くことの是非を問う声があるのは確かである。
ただ、以下のような現実もある。
最近、優秀な中学生や高校生がJクラブのトップチームやユースに行きたがらないケースが増えているという。すでに一部のJクラブの関係者は危機感を覚えているそうだ。
なぜ、そのような状況になっているか。
