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「英語が堪能、ドイツ語のサッカー用語も」FW佐藤恵允22歳が“明治大→ブンデス加入”「Jクラブに危機感」有望な中・高校生の進路志向とは
posted2023/08/18 17:01
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
DeFodi Images/Getty Images
今シーズンの栄えある開幕戦で絶対王者バイエルン・ミュンヘンが対戦する相手として選ばれたのは、ヴェルダー・ブレーメンだった。
ピッチ内に目を向ければ、楽しみな要素がある。1部昇格(復帰)初年度の昨シーズンは一度も残留争いに巻き込まれず、エースFWニクラス・フュルクルクが得点王になった。
ピッチ外では、今夏にリバプールからナビ・ケイタを獲得して周囲を驚かせつつ、昨季2部で14ゴール、10アシストのFWダビド・コフナツキを加えるなど、名実ともに充実した補強を敢行。今シーズンのダークホース候補の筆頭だ。
絶対王者の相手にふさわしいとリーグ側も判断して、開幕戦のパートナーに指名したということだろう。
公式発表では、U-23チームに入ると出ていましたが
そんな注目チームに、今シーズンの日本人大学生の最有望株が加入する。そして、彼の挑戦は色々なことを考えさせてくれるきっかけとなった。
その名は佐藤恵允(ケイン)。明治大学4年生の彼は、コロンビア人の父と日本人の母を持ち、パリオリンピックを目指すU-22日本代表のフォワードだ。
日本の大学からドイツの上位リーグに行くとなると、2014年の1月にブンデスリーガ2部(当時)のケルンに長澤和輝が加入して以来のことだ。「欧州5大リーグの1部にいきなり行くのは初めて」と胸を張る明治大学サッカー部の栗田大輔監督はこう語っている。
「ブレーメンの公式発表では、U-23チームに入ると出ていましたが、今回はトップチームの加入(が前提)と提示があったので(決断しました)。U-23はドイツ5部で活動します。そこでやるならJリーグや、他の海外の1部や2部リーグのレベルの方が高いです。『アマチュアリーグでずっとやるのは選手のレベルが落ちてしまう』と先方にお伝えし、向こうの考えも聞きました。その中でブレーメンサイドも『当初は、U-23で見てみたいだけ。(パフォーマンスが)良ければ、すぐにトップに上げる』とのことでした」
ブレーメン側は日本をしっかりとリサーチしている
佐藤のブレーメン加入が決まったとき、5部リーグのU-23でプレーすること、そしてそこで“飼い殺し”にされるリスクを危惧する声が挙がっていた。しかし、それは杞憂に終わる可能性が高い。
それはなぜか。