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〈未来の守護神〉ロッテ・横山陸人22歳「着実な成長」を支えた吉井監督の“親心”「みんな佐々木朗希を見ていた」初ブルペンから始まった「5年計画」の未来図
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/08/14 11:00
サイドハンドから150kmを超える速球を投じる横山
2年目で初めて一軍に昇格した際、ストッパーの益田直也投手とロッカーで近くになった。同じサイドスロー。将来はリリーバーを夢見ていた若者にとっては絶好のお手本だった。色々なことを聞いた。そしてその後自ら、今年1月の自主トレを共にしたいと申し出た。
「フォームから、考え方、私生活までほぼすべて真似をしています」と横山。毎年1月、静岡で行われているベテラン右腕の自主トレはランニングと体幹トレーニングが中心だ。一日10km以上、走るメニューをこなすなど地道に身体作りを行った。なによりも21歳である自分と同じメニューを汗もかかずにケロッとこなす33歳の大先輩の姿に強い刺激を受けた。
「長く活躍をするためにはこれだけやらないといけないのかと思った」
「頼むな」益田からの言葉に…
今年も中継ぎの一人としてブルペンで時間を共にすることが多い。時には試合展開を映すブルペンのモニターを見ながら、配球の話になることもある。
「次、オマエならどうする?」、「フォークですかね」、「いや、オレならストレートを続ける」
そんな会話を横山は大事にしている。
初セーブを挙げたファイターズ戦は、尊敬する益田に代わって初めて抑えを務めた試合だった。首脳陣は連投が続き疲労が蓄積しているとの判断から益田を試合前から登板させない方針を固め、若い横山に厳しい場面を経験させる意味でも、最後を任せる判断を下した。横山は「大事な場面でとは聞いていたけど、まさか抑えとは思っていなかった」と当時の心境を話す。
益田から「頼むな」と言われ、だんだん置かれていた状況を理解した。リードはわずか1点という厳しい状況での登板。しかし1回を11球、打者3人でピシャリ。見事なプロ初セーブを挙げたが、本人は「めちゃくちゃ緊張しました。毎回、こんな場面で投げている益田さんは改めて凄いなあと思いました。とにかくすごいプレッシャーでした」とホッとした表情で振り返った。