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開幕直前に先発→リリーフ転向を言い渡されても…「どこでもやります」防御率1.57と大奮闘、DeNA上茶谷大河に聞いた「先発への未練はないのか?」
posted2023/08/14 11:01
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
JIJI PRESS
要所を締める、縁の下の力持ち。今シーズンからリリーフとしてマウンドに立つ横浜DeNAベイスターズの上茶谷大河は、ここまでの登板を振り返ってこう語る。
「僕が投げるシチュエーションって、基本的に負けているときが多いんですけど、やっぱりチームに流れを持ってくるとか、追い上げるような雰囲気を作れるように意識していますね」
ビハインドのリリーフとして防御率1.57
プロ5年目。昨年まではローテーションの一角として先発を任されていたが、今季は配置転換されリリーフとして開幕からチームに帯同されている。主な役割は、先発が崩れた際にイニングを稼ぐロングリリーフ要員であり、またビハインドでのモップアップ、厳しい場面での火消しなど、その出番は多岐にわたっている。
ここまで30試合に登板し、防御率1.57(8月14日現在)という好成績。勝ちゲームに関わることは少ないが、上茶谷のピッチングは、頂点を目指すチームに大きく貢献をしていると言っていいだろう。
「リリーフをやって改めて理解したのは、本当、先発時代は迷惑をかけてきたし、支えてもらっていたんだなって。ブルペンは、それだけ大変な場所なんだって、わかっていたつもりでしたが再認識できました」
そう言うと、上茶谷は苦笑した。
ブルペン待機を言い渡されて
昨シーズンは春先に“マダックス”(100球未満の完封)を達成するなど活躍を期待されたが、その後調子を崩し、一軍とファームを行き来し3勝6敗、防御率4.73という成績に終わった。今季はオープン戦から先発を務め、ローテの一角を目指したが、開幕直前に首脳陣からブルペン待機を言い渡された。そのときの心情は、果たしてどのようなものだったのだろうか。
「じつは昨季も開幕はブルペンだったんですよ。ですから前年と同じように『チームの力になれるのならば、どこでもやります』と、監督やコーチには言いました。僕としてはどこで投げようが、勝ちにつなげられると思っているので、今のその役割をまっとうするだけですね」
ブルペン陣みんなで声を出していこう
昨年は開幕投手を務めた東克樹の不調もあり、それをカバーするように上茶谷はブルペンからすぐ先発へと戻った。しかし今季は、リリーバーとしての立場を確立し、昨年とは違う風景が目の前に広がっている。投手キャプテンの山﨑康晃を中心としたブルペンの雰囲気はどうだろうか。