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“天才・宇佐美貴史”に小、中学校で気遅れした男が“スペイン語のプロ”として同僚に…「選ばれた者しか入れない」Jリーグで通訳になるまで
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byMasaki Shimozono
posted2023/08/11 11:00
かつてJリーガーを目指し、現在ではガンバ大阪のスペイン語通訳として奮闘する岡井孝憲さん
「2年目の指導を始めたぐらいからは、選手としての活動はフェードアウトさせながら、指導者としての道を歩んでいこうという覚悟がありました。ただ、選手として得たものもあります。僕が実際にプレーしたのはアマチュアのカテゴリーでしたが、選手には激しさや汚さもあるし、普通に削ってきます。試合中に喧嘩も起きるし、日本では絶対に起こらない殺気みたいなものも感じました。今スペイン人監督と仕事をしている中で、常々スペイン人が口にする体の向きの大事さにもあの時期に改めて気付かされましたね」
通訳として「選ばれたものしか入れない世界」へ
指導者として上を目指す覚悟を定め、2020年からは京都の育成年代でコーチとして活動していた岡井さんだが、2020年に再び人生が大きく動き出した。2021年から徳島ヴォルティスを率いることになるポヤトス監督の通訳として、白羽の矢が立ったのだ。
「今でもよく覚えていますけど、正直、緊張しました。指導者の誘いを受けたスペインの2年目の感覚に似ているというか、『このチャンスを逃したら絶対にアカンな』っていう思いがありました。スペインで指導する時も、思い切って飛びこみました。通訳よりも本当は指導者に魅力を感じていたんですけど、誰しもがこの世界に入れる訳じゃない。選ばれた者しか入れない世界。通訳の候補は何人かいたらしいですが、『絶対やりたい』と紹介してくれた方には伝えましたね」
<#2につづく>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。